アーティスティックな歴史小説家は、美学、芸術学専攻だった。山本兼一がはやく亡くなったのは、やはり惜しい。この作家の歴史小説は彼独自の色合いが確かにあると、思うのだ。 松本清張賞受賞の「火天の城」は、安土城を築城した棟梁たちが主人公である。信長が建てた幻の名城である安土城は、CGなどで再現されているのを見ても、壮観な城である。 だいたい、男は城好きだと言われるが、安土城に対するロマンというのは、かなり熱いものではあるまいか。