「雇用によらない働き方」と呼ばれるフリーランス、名ばかり個人事業主をめぐる問題は、Asu-netの2019年「つどい」で取上げました。その後、コロナ禍で「雇用によらない働き方」が、日本に限らず世界的に、仕事を失い、収入だけでなく、社会保障面でも脆弱である働き方であることを浮き彫りになりました。ILO、OECDが、「雇用によらない働き方」に関して大きな問題があることを強調しています。とくに、EUは、2017年11月、ヨーテボリ(スウェーデン)で開催された「社会サミット」で「社会権の柱」を確認しましたが、そこでは、社会的格差の広がりのなかで雇用脆弱層を中心にした多くの社会的権利が重視が確認され、典型(標準)労働者だけでなく、非標準労働者(non-standard worker)、自営業労働者(self-employed)の社会的保護も挙げられました。
コロナ禍(covid-19)を経て、2021年5月、ポルトガルで開かれた「社会サミット」では、この社会権の実現が大きなテーマになりました。2017年以降、コロナ禍の中で非標準労働者、とくに移動制限・都市封鎖の中で社会を支えた食事配達員など、プラットフォームを通じて働く労働者の保護の課題が注目されました。そして、プラットフォーム労働者自身の運動を背景に、労働組合の支援を得て闘われた訴訟で、欧州各国の裁判所が、プラットフォーム労働者の「労働者性」を認める判決を相次いで下しました。こうした動向を背景に、この5月、スペインが食事配達員の労働者性を認める法令を国レベルで初めて定めました。韓国も、個人請負労働者への労働・社会保障法の適用を拡大する議論が高まり、雇用保険法の適用拡大が進んでいます。
しかし、日本では政府・経営側から、「雇用によらない働き方」の就労者を、従来の「規制緩和」の延長として、低劣な労働条件を前提に十分な保護なしに利用する意図が示され、国際的な権利拡大とは程遠い状況のままです。欧米・韓国とは異なり働く側の動きや取り組みは小さな流れにとどまっています。
このページでは、日本の動向を考える前提として国外(欧米・韓国など)の新たな関連情報を集めます。世界の動きは速く、活発です。継続して更新していくつもりです。(2021.6.4)