オーストラリア映画で、監督はユーチューバー2人組。
制作会社は今をときめくA24。
得体の知れない心霊ホラーを平常心で観た。
ブッ飛んだ。
(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia
降霊憑依90秒チャレンジはやってはいけない
あらすじは、降霊術だ。
いわく付きの掌の石膏を握ると、幽霊が見える。
そのまま霊を自分に憑依させて、90秒後にあの世にお帰りいただくと、体験者は恍惚感に満たされる。
まるで麻薬のよう。
快感は果てしない。
そんな動画が学内で出回って、高校生は大騒ぎ。
大盛り上がりで降霊会を開くのだが。
当然、楽しい会になるはずもない。
女子高生ミアが体験し、目にしてしまう心霊がエグい。
いやもう、展開がエグい。
ホラーメイクが素晴らしい。
脚本がとても良い。
近年、ラストはどうとでも取れるような、観客に丸投げされるホラーも流行っているが、ここではちゃんと落とし所を用意しており、素晴らしい。
どうしたって同情が湧き起こるストーリーだ。
恐怖と悲哀が詰まったホラーは忘れられない作品になる。
きっとこの映画、忘れられない。
キャスト&スタッフ
(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia
ミア役ソフィー・ワイルドの哀しさに胸を締め付けられる。ルックスも良い。誤解を承知で申し上げてしまいますと、もうブラック系の俳優女優が主演を務めることに違和感がなくなっているのも、凄い。
友人ジェイド役アレクサンドラ・ジェンセンの絶妙さ。
ジェイドの弟役ジョー・バードの熱演が好演。痛々しいくらい!
元カレ役オーティス・ダンジのちょっとカッコいい感じがちょうど良い。
(C)2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia
ダニー・フィリッポウ監督とマイケル・フィリッポウ監督はさすが、双子ユーチューバー。YouTubeは数秒で視聴者を獲得しなければならない。日々の動画で訓練を積んでいるから、映画開始早々のつかみが見事! 2013年にYouTubeチャンネルRackaRackaを開設してから、体を張って来た模様。今や登録者は682万人。心霊と心の闇の両刀使いで、迫力は満点である。
なお本作は、監督の近所の子どもが初めてドラッグをやった際に、周囲がはしゃいで撮影していた光景に嫌悪を感じたことから作られたという。だからだろう、生々しい。
苦悩と恐怖の合体はコワさマシマシ
ミアが抱えている悩みや問題に、降霊術チャレンジというYouTubeらしさを合体。
登場する幽霊は恐ろしげだ。
だいぶ目に来る。
そして、せつなくてやるせない。
ここまで主人公の心情を描く手腕に驚く。
家族が根底にあるから、感情が身近だ。
だから、怖い。
むしろ、オバケがワーワーやってます的なオカルト・フェスティバル映画が懐かしくなるほど。
しかも、恐ろしさは増して来るのだから。
ミアの机にこけしが置いてあったり、石膏の掌に漢字が書かれていたりと、そんな和風仕立ても気になる。
ここで朗報です。
大ヒットにより続編が進行しているという。
仮タイトルは『TALK 2 ME』、待ちきれない。
人間は命が終わったら闇に包まれるものだと思っていた。
そうじゃない可能性に呆然となる。
この映画は怖い。
今年のベスト、ホラー枠はコレで決定しました。
RackaRacka
2022年製作/95分/PG12/オーストラリア
原題:Talk to Me
監督:ダニー・フィリッポウ、マイケル・フィリッポウ/脚本:ダニー・フィリッポウ、ビル・ハインツマン/撮影:アーロン・マクリスキー/美術:ベサニー・ライアン/衣装:アナ・ケイヒル/編集:ジェフ・ラム/音楽:コーネル・ウィルチェック/出演:ソフィー・ワイルド、アレクサンドラ・ジェンセン、ジョー・バード、オーティス・ダンジ、ミランダ・オットー、ゾーイ・テラケス、クリス・アロシオ、マーカス・ジョンソン、アレクサンドリア・ステファンセン
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スクリーン
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