もしも妻の愛人がチンパンジーだったら?

これはドリフのコントではない。(懐しい)

大島渚監督による愛の物語だ。

 

マックス、モン・アムール

 

  チンパンジー(オス)を選んだ妻

 

あらすじは、アムール(愛)である。

舞台はパリ。

妻の浮気を疑った夫。

いざ密会現場に乗り込んだ夫は、妻の愛人と鉢合わせすることに。

しかも、相手はチンパンジーだった。

 

え……?である。

近頃、話題のセカンドパートナー、略してセカパがチンパンジー。

悪夢です。

相手はキーキー言っており、話が通じない。

夫の困惑がつらい。

せめて人であれ…!と、誰もが懇願する状況。

浮気を責めることさえ忘れる衝撃だ。

 

チンパンジーの名はマックス

タイトルのモン・アムールの意味は「愛する人」である。

 

なるほど、夫への不信が昂じての行動か。

夫への復讐か?

と、当方もいったん落ち着こうとしたのですけれど、そんな単純な話でもなかった。

妻の話かと思いきや、である。

マックスに妻を奪われた夫にフォーカスしていく物語。

同情を禁じ得ない。

 

 

  キャスト&スタッフ

 

マックス、モン・アムール

 

妻役はシャーロット・ランプリングなので妙に説得力がある。細女優というジャンルのナンバーワンだろう。

 

夫役アンソニー・ヒギンズの健気さよ。ドン引きした表情が忘れがたい。

 

娼婦役サビーヌ・オードパンが魅力的。

 

こういうテーマに子役さんがいるので心配になる。

 

マックスがチンパンジーそのものなので驚愕したが、本物とダミーを併用なのだそう。名手リック・ベイカーによるメイクが素晴らしく、全編、本物にしか見えない!

 

大島渚監督は笑顔から激怒まで1秒もかからないという御人であったけれど、単身渡仏して俳優スタッフを集めたという情熱も目に浮かぶようだ。突飛なアイデアも監督ならでは。鑑賞して数日後も、ふと考えてしまう謎の魅力がある。

 

 

  衝撃が揺さぶる家族の形

 

公開当時、大変な話題になった作品である。

キワモノ感があったけれど、いざ挑んでみたら、可笑しいやら切ないやら微笑ましいやらと、こちらの感情もカオスに。

常にスーツ着用の夫vs全裸のチンパンジー。

そんな構図も皮肉で愉快。

結果、しばしば吹き出してしまったこと、平謝りであります。

 

キテレツ設定も、フランスならありそうだなと思えてくる。(風評被害)

多様性も極まれり。

夫婦って何? 家族って何?

そういうことも飛び越えて、もう考えるな、感じなさい、と言われているよう。

しょぼんとするマックスが愛らしく見えてきたら、ヤバい。

フィジカル性を愛と捉える夫に対して、精神性を求めた妻。

ラストで観客を煙に巻く大島渚監督

変容していく家族の形だ。

 

当ブログに足りないものは恋愛映画だと気づきまして本作を選んでみたのですけれども、選球眼、合ってますか?

といいますか。

大島渚監督は時々、笑わせに来ている。気がします。(そんなわけない)

 

チンパンジーに嫉妬するのもまた、人間。

異種の生物を放り込んで、夫婦を、家族を揺さぶりまくる。

変態映画かと怯えていたけれど、この裏返し感は稀有でありましょう。

 

 

 

 

 

1987年製作/97分/フランス
原題:Max mon amour

監督・脚本:大島渚/製作:セルジュ・シルベルマン/脚本:ジャン=クロード・カリエール/撮影:ラウール・クタール/音楽:ミシェル・ポルタル/出演:シャーロット・ランプリング、アンソニー・ヒギンズ、ダイアナ・クイック、ビクトリア・アブリル、サビーヌ・オードパン、ファブリス・ルキー二

※読んでいただいてありがとうございます。情報に誤りがありましたらご一報いただけたら幸いです。

 

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