我が子に忍び寄るモノがいる。
スマホ、タブレット、電子機器がイヤになる。
愛がいっぱい。
良いですね、ホラーと言いつつ違う後味。
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見知らぬ怪物アプリが起動する
あらすじは、少年が中心。
少年オリヴァーは心が敏感で、うまく喋ることが出来ない。
友達も離れてしまった。
そんな息子の育て方が、ママとパパにも分からない。
ある日、オリヴァーのスマホに不思議な絵が現れる。
孤独な怪物が描かれた絵本アプリらしい。
モンスターの名前は、ラリーといった。
寂しい少年と、寂しい怪物である。
冒頭から、せつない。
心ポカポカのファンタジー作品であれば、ここから仲良し物語が進むはず。
ところがここでは、恐怖が生まれることになる。
そもそも、ダウンロードした覚えのないアプリが自動で立ち上がるのはコワい。
18禁サイトを徘徊している大人なら、失禁確定だ。
謎のアプリが起動して、家の中が一変する。
日常に恐怖が潜むようになる。
その怖がらせ描写が上手い。
怪奇現象が美しい。
この感じには覚えがある。
スティーブン・スピルバーグ製作の傑作『ポルターガイスト』に近いだろうか。
というのも、制作会社はアンブリン・パートナーズ(S.スピルバーグ創業)なのだった。
なるほど!
だから子どもで、だからママの愛なのか。
間違いがないわけである。
キャスト&スタッフ
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オリヴァー役アジー・ロバートソンが可愛いのなんの! 自閉症という難しい役柄。言葉を発せないうえに、たびたび恐怖に見舞われる。素晴らしい表現力。
ママ役ギリアン・ジェイコブスが良い。こういうホラーにおけるママ像はパターン化もしているけれど、心の揺れにも共感。
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パパ役ジョン・ギャラガー・Jr.に見覚えがあったのですが、『サイレンス』の! あのサイコ野郎! 今回はパパとして好印象。
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子役勢の活躍が頼もしい。4人組というベスト人数。否応なくジュブナイル度が上がっていく。
ジェイコブ・チェイス監督は長編デビュー作。1作目でこのレベルを作れるのかと、ハリウッドの製作バックアップ・システムに呆然。興行収入も初週で全米ナンバーワンだったというから、成功した模様。登場人物への視線も温かく、ホラーのタイミングも優れものだ。
現代ならでは、だけれど普遍的
電子機器がキーになるという、ザ・現代ホラーである。
それでいて、いつの時代にも置き換えられるアイデアだろう。
友達の作り方、子どもの愛し方。
友情、母性愛、父性愛。
人間関係は完璧ではないから亀裂が生まれる。
そうして怪物に入り込まれるのは、日常でも起こりえることだ。
殊にお子さんをお持ちの方は、親目線で共感されるかもしれない。
日本未公開だけれど、充実度は高い。
大人気アニメ『スポンジボブ』を使い倒すのも、楽しい。
最後も含めて、様々な映画の影響も思わせる。
音響効果も上々で、高まるハラハラ。
シンプルな怪現象は、特殊効果の作り方も想像できて嬉しい。
邦題のサブタイトルにも目を引かれた。
ホラー部分だけじゃなく、心を取り扱う繊細さ。
子どもの気持ちも、親の気持ちも汲み上げる。
どんな親だって、子育て初心者で…って、あら?
本作はホラーだったはず、ですよね?
なのに、後味に残るのは愛だ。
オリヴァーは孤独で、ラリーもまた友達を欲しがっていた。
寂しさ発の、家族の闘い。
AmazonPrime
2020年製作/96分/アメリカ
原題:Come Play
監督:ジェイコブ・チェイス/製作:アンドリュー・ローナ、アレックス・ハインマン/撮影:マキシム・アレクサンドル/音楽:ロケ・バニョス/出演:アジー・ロバートソン、ギリアン・ジェイコブス、ジョン・ギャラガー・Jr.、ウィンズロウ・フェグリー、ジェイデン・マリー、ギャビン・マッキーバーライト
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