ネタバレ厳禁映画といえば『エスター』である。(リンクは拙ブログですがご参考までに)
未見の方が羨ましいほどの珠玉ホラー。
あれから13年! しかも同じ主演キャストで帰ってきたのだから衝撃である。
チビりそう。
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前作よりも過去を描く
あらすじは、こうだ。
といっても、どこまで書いてOKなのか手探りなのですけれど、公開まもなくでございますし、できるだけネタバレ厳禁で進みます。よろしくお願いいたします。
孤児院で暮らすエスターは、裕福な家庭に引き取られたものの。
そこで凄惨な出来事があった。
それが1作目のお話。
この続編では、エスターがそもそも孤児院に入る前の時間が描かれる。
どういう過去があったのか、ついに目の当たりにできてしまう。
2作目も、アメリカの裕福な家庭が舞台だ。
プライベートジェットをも持つ大金持ち家族は4年間、行方不明になった幼い娘を探していた。
そこに朗報です。
遠いロシアで、娘が見つかったという。
家族が大喜びで出迎えた娘は、なんだか、どこかが変だった。
ファーストシーンで、ババア(当方)、度肝を抜かれました。
2009年に作られた1作目で、エスターの身長は小学生ほど。
子役さんは人間なので成長します。
が、似たようなキャストを見つけて映画を作っても意味がない。
ナゼなら、エスターはこの見た目でなければならないから!
その結果、成功続編が出来上がった。
これはまさに、あのエスターの前日譚である。ブラボー!
キャスト&スタッフ
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エスター役のイザベル・ファーマンがいてこそ成り立つ、この企画。オリジナルの撮影当時は12歳だったのだから、改めて腰が抜ける。25歳になって演じるエスターも素敵だ。ちなみに前作では↓こうでした。
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良い! 違和感がない。13年経っても変わらない秘訣を教えてほしい(必死)。もちろん、日頃のご本人はエスターそのものではなく年相応に育っている。若者サバイバル映画『ハンガーゲーム』では成長した御姿だった。この方だと分からないほど。
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金持ちママ役はジュリア・スタイルズだ。力強い。体を張っている。
金持ちパパ役はロッシフ・サザーランドだが、その名の通り、怪優ドナルド・サザーランドの息子! どおりで背が高いわけだ。ずっと切ない顔をしている。
金持ち息子役のマシュー・アーロン・フィンランの、絵に描いたようなバカ息子感が良い。
刑事役のヒロ・カナガワは神奈川県ご出身かと思いきや、札幌市生まれだそう。漢字名は金川弘敦(ひろのぶ)。日米を行き来して育ち、高校卒業後に渡米されたという。渋い。役どころも良い。
監督は代替わりした。前回のジャウム・コレット=セラ監督が素晴らしかったので、分が悪いだろう気の毒に、と思っていたら、ぃやいやコチラも良いじゃないですか。あの恐怖は踏襲しながら、新しい勢いがある。監督は誰なのか…って、ウィリアム・ブレント・ベル監督ではないか! 『ザ・ボーイ 人形少年の館』も最高だった。 なるほど、だからアクション増量なのかとホクホクできること請け合います。
実は激しくアクション
そう、このエスター・シリーズはサスペンスで、血も出ます系で、人がお亡くなりになる系のホラーなのだけれど、一貫して見事なのがアクションである。
家庭内で七転八倒するのである。
心理戦にゾクゾクしていると、アクション映画に変容するので注意したい。
エスターの特異な印象を変えないよう、撮影の工夫が盛り込まれていたのも楽しい。
吹き替えキャストも使いつつ。
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでも使われていた、人物を画面の奥に立たせるという撮影手法だ。
これによって奥の人物が、手前の人物よりも背が低く見えるという仕掛けだ。
少女エスター像がしっかりあっての、この恐怖。
ヒリヒリとした怖さと、ハッと息を呑む現実に慄いた前作。
今作では、ある種の方向転換がなされていた。
それは、同情の要素である。
エスターかわいそうである。
服のセンスが悪いと言われるエスター。
かわいそうである。
大金持ち家庭の印象が、現実のある事件も思わせた。
原題の『Orphan』は「孤児」の意味で、日本語にはしにくいタイトル。
『エスター』とした邦題にセンスを感じる。
もしかしたら、なのですけれども、今後もエスター・シリーズは作られるのではないか、という淡い期待が。
秀逸なアイデアの前作は完璧だったから、まさか続編が作られるとは思いもよらなかったけれど、出来上がってみたら、ぃやいやコレも良いじゃないですか。
映画館の設備の問題か、当方が鑑賞した際は画面が暗めだったけれど、それでもオーケーオーケー。
今どき、この要素を突きつめたらタブーに引っ掛かりそうでいて、潜り抜けている。
その際どさもホラーには嬉しい。
これは良い続編。
なお1作目未見の方は、前作をご鑑賞されてからの本作をオススメします。
来場者多めの劇場から出る時に「1作目観てないから、ちょっとワケわかんなかったわー」と言っていた青年がいましたので、あんな被害者を出してはいけない。
オリジナルをご覧になってから、ゼヒです。
2022年製作/99分/R15+/アメリカ
原題:Orphan: First Kill
監督:ウィリアム・ブロント・ベル/原案:デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック、アレックス・メイス/脚本:デビッド・コッケシャル/撮影:カリム・ハッセン/美術:マシュー・デイビス/衣装:キム・H・ンゴー/編集:ジョシュ・イーザー/音楽:ブレッド・デター/出演:イザベル・ファーマン、ジュリア・スタイルズ、ロッシフ・サザーランド、マシュー・アーロン・フィンラン、ヒロ・カナガワ
※読んでいただいてありがとうございます。情報に誤りがありましたらご一報いただけたら幸いです。
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