大傑作。
猛烈なカッコよさ。
フィルム・ノワール(犯罪映画)の代表作だ。
競馬場強盗の計画は万全
おじさん5人が強盗の算段。
それぞれに問題を抱えているから、金が必要。
競馬場には金がたんまりある。
分刻みの準備は万全。
ところが仲間の1人が喋りすぎたことから、計画がつまずき始める。
少人数で山分けしよう。
彼らが金を求める理由が分かりやすいから、悪人ばかりとも思えない。
緻密に思えて、やはり悪知恵の寄せ集め。
強盗の目論見はうまくいくのかどうか。
観客から見ても危うい。
ハラハラしながら、決行当日がやってくる。
犯罪の思惑が徐々にズレていく面白さ。
計画に関わる人間が多いほど、アクシデントは起こるもの。
大金に惹かれた人間たちの欲深さ。
強盗といえば拳銃、そして現金(げんなま)強奪だった時代だ。
キャスト&スタッフ
刑務所帰りの主役スターリング・ヘイドンは当時の人気スター。高身長に渋めな顔立ち。思い付きの計画も、この人が話すと説得力があるから不思議。
その彼女役コリーン・グレイが美しい!
競馬場窓口係役のエリシャ・クックがストーリーの肝。派手な妻に翻弄される夫を演じて、記憶に残る。
その妻役マリー・ウィンザーが相当な悪女。ファム・ファタール役(男を破滅させる女)の代表女優だったとのことで大納得。たぶんファンデーションが3日でなくなる化粧の濃さ。
警官役テッド・デコルシアの悪党ぶり。
ライオネル・ホワイトの原作を映画化。
スタンリー・キューブリック監督は公開当時28歳! ハリウッド資本の第1作目だ。才能が迸りすぎて、ひれ伏しても足りません。
無駄のない脚本。ストップウォッチで計ったような展開。のちのクライムサスペンスに影響を及ぼしまくり。印象的なシーンが次々に現れる。
クライマックスから止まらない鮮烈
競馬場の雑然とした空間からは匂いも漂いそう。
血を流さずに大金を頂戴する計画。
クライマックスからラストまで、その流れが秀逸!
サスペンスのお手本だ。
思わず、あっ!と叫んでしまった。
一度ならず何度もだ。
200万ドルを手に入れるために、追い立てられる男たちの焦燥がたまらない。
キューブリック監督といえば映像センス。
すでに炸裂している。
カッコいい!とも叫んでしまった。
終幕の文字をあんなにうまく使う映画は、他にない。
髙村薫の傑作小説『レディ・ジョーカー』を知った時に、競馬場で出会う男たちという設定にシビれたのですが、コレだった。気がします。
オマージュといいますか。
使いたくなるアイデアだ。
こうなるだろうという予想を良い意味で裏切らない。
こちらが期待したものを見せてくれる。
キューブリック監督、スゴくないですか。(アホの感想)
まさしく天賦の才能。
モノクロの映像は、役者の顔に当たるライトの効果も抜群。
光と陰で、駆け引きの優劣も見せてくれる。
ラストにかけて、映画史に残る名シーンが続く。
実に鮮烈であった。
1956年製作/85分/アメリカ
原題:The Killing
監督・脚本:スタンリー・キューブリック、脚本:ジム・トンプソン、原作:ライオネル・ホワイト、撮影:ルシアン・バラード、音楽:ジェラルド・フリード、出演:スターリング・ヘイドン、コリーン・グレイ、エリシャ・クック、マリー・ウィンザー、じぇい・C・フリッペン、テッド・デコルシア、ジョー・ソウヤー、ティモシー・キャリー、コーラ・クワリアーニ、ジェームズ・エドワーズ、ヴィンス・エドワーズ
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