マリー・アントワネットの青春。

14歳でフランスに嫁がされたオーストリアの王女。

フランス革命で断頭台の露と消えた王妃の素顔だ。

 

マリー・アントワネット

(C)2005 I Want Candy LLC.

 

  アントワネットの暮らしを覗き見る

 

ロックが流れ、噛み砕かれてはいるが、史実あってのストーリー。

あらすじは、アントワネットの人生そのもの。

ルイ16世と結婚したものの、世継ぎを産まなければ居場所をなくす立場。

オタク気質の夫は馴染もうとしない。

孤独なアントワネットは、パーティに没頭していく。

 

公開時、物議を醸したポップな味付け。

劇中、アントワネットはかなり遊んでいる。

RPGゲームなら、職業は「王妃」ではなく「遊び人」といった勢い。

 

が、池田理代子の傑作漫画『ベルサイユのばら』(ベルばら)を愛読した当方(BBA)には、とても見やすい。

「ベルばら」が実写だとこうなるのか、とか。

「ベルばら」は史実に忠実だったのだな、とか。

ぃやいや、「ベルばら」の方が強烈だな、とか。

「ベルばら」で頭がいっぱいになる。

ダメ観客。

 

アントワネット初体験の場合、少し分かりにくいかもしれない。

細かい歴史は描かれていないからだ。

王室の暮らしが中心。

宮殿の外のことは分からない。

重税にあえぐ民衆の蜂起も、宮殿からは見えない。

ということは、アントワネット本人の感覚が伺えるというものだ。


 

  スタッフ&キャスト

 

大監督フランシス・フォード・コッポラが製作総指揮。

 

娘のソフィア・コッポラ監督・製作・脚本でオリジナリティ爆発。勝手なイメージで恐縮ながら、蜷川実花監督とダブる。芸能2世でオシャレ映画でヤリ手で、という共通項が華やか。

 

マリー・アントワネット役キルスティン・ダンストは、何だかんだ言われがちだけれどもとても良い。あどけなさから頼もしさへの変貌も自然。

 

ルイ16世役ジェイソン・シュワルツマンが憎めない。この方もフランシス・F・コッポラの甥だ。一家総出。

 

フェルゼン役はカッコよくなければということで、ジェイミー・ドーナン

 

取り巻き役トム・ハーディは、まだ端役。

 

目を惹くのは衣装・美術! オシャレ炸裂! 宮廷ドレスの艶やかさ! ミレーナ・カノネロアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した。ヨダレが止まらないお菓子の色味と合わせて、目の保養ありがとうございます。

 

 

  アントワネットの数奇な運命

 

ロケ地はもちろん、ベルサイユ宮殿だ。

私事ながら一度だけ訪れたが、劇中ではカーテンなどを替えて、家具調度は展示品そのものに見えた。

撮影許可が無闇に太っ腹だったわけではなく、1日16,000ユーロの使用料だったそう…!

邦画なら、即、破産。

 

宮殿内の勢力争いは、江戸城の大奥にも似ている。

時代の変化に倒されたのも、同様だ。

アントワネットがお菓子を食べている頃に、『アマデウス』がオペラを書き、市中では『レ・ミゼラブル』の光景があったと思うと感慨深い。

 

伝記映画というより、一人の少女の物語である。

世間知らずな14歳の子どもが、異国で子作りをせっつかれる。

me too運動どころではない騒ぎではないか。

 

だからアントワネットがどんなに気ままに振る舞おうとも、寂寥感がまとわりつく。

ラストも賛否が分かれるところだが、個人的には好き。

ほとんど宮殿の中だけで完結していた半生だ。

その現実を印象づけるには効果的。

 

誰からも、真実の助言を得られなかったルイ16世とアントワネット。

2人が哀れに見えてくる。

彼らを利用して甘いお菓子を食べていた人々の、狡猾さ。

贅沢三昧で全てが破格。

煌びやかで、眼福でございました。

 

 

 

 

 

 

2006年製作/123分/アメリカ
原題:Marie Antoinette

監督・脚本・製作:ソフィア・コッポラ、製作:ロス・カッツ、製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ、撮影:ランス・アコード、美術:K・K・バレット、衣装:ミレーナ・カノネロ、編集:サラ・フラック、音楽:ブライアン・レイツェル、出演:キルステン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、アーシア・アルジェント、リップ・トーン、ジュディ・デイビス、ローズ・バーン、シャーリー・ヘンダーソン、ダニー・ヒューストン、スティーブ・クーガン、トム・ハーディ

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