これぞサスペンス。

殺人現場に居合わせてしまった盲目の女性が、犯人に追われることになる。

すぐ近くにいても犯人に気づけない。

これは怖い。

 

暗闇で抱いて!

©️新東宝映画

 

 

  ストーカーに追われる優しい人

 

盲目のナツキは自立した女性。

人にやさしく、よく働き、一人暮らしの部屋も常に整えられている。

見習いたい人物像。

そんなナツキがある夜、友人を心配して行動した結果、自らが危険な目に遭うのだから気の毒でならない。

 

ピンク作品なので、濡れ場がある。

しっかりとある。

ちゃんと…というのは語弊があるかもしれないのですが、ちゃんと色気のあるシーンとして撮られている。

なるほど、こういうカメラワークで撮るのかと感心してしまった。

まず、肌にカメラがガブリ寄るのだなと。

 

しかし、ストーリーが濡れ場を超越してくるので腰が抜けるわけだ。

ピンク映画っていったい…

一般邦画との違いは配給会社であり、濡れ場を入れる割合だったり、予算の少なさ、スケジュールのタイトさだったり。

そんなピンク界から才能ある監督が多く出現したのは、作品本数が多いことにもよるのかもしれない。

 

本作も普通に…というのは語弊しかないのですけれど、邦画部門でもなかなかお目にかかれない優秀サスペンスではないですか…(震え

 

 

  キャストとスタッフ

 

ナツキを演じる葉月蛍が見事なのだ。白杖さばきの素早さが、熟練を思わせる。主演作を何本か観てきたが、葉月蛍の艶姿を初体験した思い。人気の理由が分かった。

 

隣人のドラァグクイーン役、色華昇子が良い。

 

犯人役の入江浩治は帽子効果もあり、RADWIMPS状態。メンタルがキモめのストーカー役だが、イケメンに見えてお得感。

 

出演も兼ねる伍代暁子の脚本は視覚障がいやトランスジェンダーを扱いながら、特別視しない視線が温かい。

 

池島ゆたか監督は、寺山修司主宰の劇団『天井桟敷』のご出身と知って驚愕。本作では、ストーカーの父親役で出演も兼ねる。滝田洋二郎監督の傑作と聞くピンク映画『真昼の切り裂き魔』のメインキャストとのこと。そちらも観てみたい。

 

 

  優れた女優の表現力

 

別タイトルは『猥褻ストーカー 暗闇で抱いて!』だったようで、違和感はない。

タイトルからしても、オードリー・ヘプバーンの名作『暗くなるまで待って』がヒントだろう。

 

むろん、本作の方が犯人がヤバい。

やけになって人を襲いまくる若者だ。

フェミニストが眉をひそめるようなセリフも吐く。

ピンク作品だからエロ一辺倒、なんてことはないのだと再認識。

 

盲目の被害者である。

視界が奪われる中で、遭遇した犯人とどう戦うか。

サスペンス部分が迫真だ。

何より、生命が危険すぎて、ヒロイン葉月蛍の形相が凄まじい。

美しく撮られることをかなぐり捨てられる女優は良い女優、と思っているのですけれども、まさにそれ。

 

女優を美しく見せたいのがピンク作品かと思っていたけれど、どうやら違う。

記憶に残る女優魂であった。

 

 

旗東映バカ(団長)さん、オススメありがとうございました。ご馳走様でした。

 

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2002年/62分/日本/R15+

監督:池島ゆたか、脚本:伍代暁子、出演:葉月蛍、美麗、真咲紀子、石川雄也、入江浩治、色華昇子、池島ゆたか、伍代暁子

カチンコGyao!

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