なんて素晴らしいんだ!!!(突然の大声すみません
日本公開から17年経った真冬に観ても眩しい、全方位的、愛の映画。
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彼女は昨日のことさえ忘れてしまう
ハワイである。
2000年代にはこんなふうに観光客に溢れていたなと、懐かしい。
そんな常夏の楽園で遊び倒している男が、キュートな女子に出会う。
恋が始まる。
映画なので。2人の間には問題が必要だ。
今作の場合、実に深刻。
彼女は「短期記憶喪失障害」を抱えていた。
一晩寝たら、その日のことを全て忘れてしまう。そう、リセットだ。
重く描こうと思えば、いくらでも重く出来る設定だ。
シビアに思いつめたドキュメンタリー風味で伝わるものは案外、少ない。
結果、笑いとハラハラと、海洋生物でいっぱいの映画になった。
そうして、ズドンと胸に届いた。
迸るギャグはハマれたりハマれなかったりだが、無問題。
「忘れん坊」の彼女を思う人々の気持ちが暖かく、エピソードの一つ一つに心を持っていかれる。
彼女の笑顔を守りたくて、頑張る人々。
彼女を笑わせるために苦心する、その姿が尊い。
キャスト&スタッフ
主演は『E.T.』の妹、ドリュー・バリモア。泣き顔は幼い頃のまま。有名子役ゆえのいじめが元となり、9歳で飲酒・喫煙、10歳でマリファナ、12歳でコカイン、14歳で自殺未遂、オーディションを受け続ける切ない10代だったが、努力で更生して第一線に復帰。今では慈善活動も行っている。素晴らしい女性かと思う。
失礼で恐縮ながら、遊び人役のアダム・サンドラーにしっかりとハマれたことがなく……今回も30分ほどは、またスベリ倒してる……と震えて眺めていたのだが。観終わってみたら、こんなに良い人がいるだろうか……いない!とまで思えたので、映画ってスゴい。
セイウチが助演動物賞モノ。
父親役のブレイク・クラークがとても良いのだけれど、『トイストーリー』のバネ犬(スリンキー・ドッグ)の声の人であった。
コメディなので、ダン・エイクロイドも登場。
ピーター・シーガル監督作品は初体験だった模様。ヘビーな状況を愛情たっぷりに見せてくれる。去年公開の『マイ・スパイ』も面白いと小耳に挟んでいるので楽しみだ。
病気と共に生きるということ
この2人はどうなっていくのか。
ということよりも、家族を含めた全員が幸せになるにはどうしたらいいのかと、一緒に考えていくようなストーリー。
病気だから笑ったら気の毒……などという、思いやりの押し売りはゼロ。
というのも、しっかりと障害や病気を扱っているので嫌味がない。ありがたい。
アホアホシーン担当の人々が生む笑いに救われ。
無垢な笑顔に救われ。
頑張る海洋生物が可愛い。
日本版リメイク(福田雄一監督+山田孝之+長澤まさみ)も上々の出来であった。
病をネガティブだけに捉えないスタイル。
この症状は、前向性健忘(ぜんこうせいけんぼう)とも言われる。
ここでトライされているのは、まさに前を向いた生き方だ。
事故でなくても、アルツハイマーを発症する人は多い。
何かの時の為に、胸に置いておきたい明るさである。
それにしても改めて、ハワイの楽園感は永遠の癒し。
↓リメイク版も観ました↓
Pick Item
2004年/99分/アメリカ
50 First Dates
監督:ピーター・シーガル、脚本:ジョージ・ウィング、出演キャスト:ドリュー・バリモア、アダム・サンドラー、ロブ・シュナイダー、ショーン・アスティン、ダン・エイクロイド、ルシア・アトラス、エミー・ヒル、ブレイク・クラーク
Netflix
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