メリークリスマスですので、36年前のカワイコちゃん映画を。
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お気づきでしたでしょうか。
主演のギズモ↓が可愛すぎるので、うっかりしがちですが。
実は、パニックホラーである。
住人全員を間抜けにすることで笑いが生まれてはいる。
が、ここには殺人鬼が登場するのである。
ダメ発明に勤しむパパが息子にクリスマスプレゼントを物色中、出会ったのがモグワイという生物。
ペットにするには3つのルールがありまして。
1.光を当ててはいけない
2.水をかけてはいけない
3.真夜中に食べ物を与えてはいけない
これらを守らなければならないのですが。
案の定、帰宅後、秒でルール1を破ってしまう間抜け家族。
その後は、推して知るべし。
じゃんじゃん3つの禁忌を破ります。
すると、思ってもいない事態が発生。
クリスマスの夜、町中がパニックに。
ギズモは徹頭徹尾、可愛らしく。
様々な言語でつぶやいたりして。
種の名称「モグワイ」と鳴くなど、ポケモンのルーツを思わせる。
片や、暴れる一味は傍若無人。
同じ物から生まれるのに善と悪に分かれるあたりは、キリスト教的。
大ヒットを連発したアンブリン製作、つまりスティーブン・スピルバーグ、フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ製作なので、大騒ぎの中にもハッとする。
科学室のシーンなどは、『ジェラシック・パーク』に繋がる上手さ。
この後『グーニーズ』『ホーム・アローン』『ハリー・ポッター』シリーズと駆け抜けるクリス・コロンバス監督が脚本担当。
当時27歳の新鋭であり、才能にぶったまげた(古語)ものだった。
音楽ジェリー・スミスによるグレムリンのテーマは、最高。
ジョー・ダンテ監督(ロジャー・コーマン監督の弟子)と聞くだけで、当時はワクワクしたもの。
息子役ザック・ギャリガンはこの後パッとせず、2003年には万引きで逮捕されており、切ない。
ヒロイン役フィービー・ケイツが、にこるんに似ていると気づけた。
友達役コリー・フェルドマンは『スタンド・バイ・ミー』を筆頭に売れ売れ子役だったが、近年はハリウッドのセクハラを告発したり大麻中毒になったりと、切ない。
ダメ親父役ホイト・アクストンはナレーターも兼任だが、お前が言うな的なセリフが満載。
母親役フランシス・リー・マッケインは『フットルース』『バック・トウ・ザ・フューチャー』と大ヒット作でママ役を歴任。
今作で最も戦闘シーンを担当しているのは、この人である。
小さい生物がいつの間にか町に入り込んで暴れる構図は、日本人を表していると言われていたのだが。
改めて観ると、噂レベルではなく、まさにそう。
ディック・ミラー演じる住人のセリフは、外国製品に対するディスりのみ。
何しろ、日米貿易摩擦の真っ只中。
公開された1984年には家電や車でアメリカの対日貿易赤字が500億ドルに及び、国を挙げてのバッシング中。
そう思って観ると、暴れるモグワイ側をついつい応援。
そもそも、警察さえも間抜けというアメリカ人の描き方も皮肉たっぷり。
全部を見せてしまわない、とか。
音だけで悟らせる、とか。
ぬいぐるみマペットのたどたどしさも魅力に変える、とか。
匠の仕事である。
なお、今更ながらに気づいたのですが。
撮影のセットが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同じである。
あの時計台広場から、映画館までのストリートが同じ場所。
ということは、グレムリン騒動の翌年に、この町ではマーティが時間を行ったり来たりしていたのか!
と思うと、尚更に楽しい。
ダメ発明しかしない大食漢男を敬う、妻と息子。
クリスマスに苦い思い出がある美人銀行員。
町のヒエラルキー。
飲酒警官。
哀しい事情テンコ盛りの小さな町で暴れるグレムリン(小悪魔)たち。
本当は怖い話なのである。
ちなみに続編は2本作られて、観たはずだが全く記憶に無い。
自分が怖い。
※グレムリン購入のあのお店、ハリウッドのスタジオツアーで遭遇しました。↓
DVD
※当記事は個人の感想でございます。情報に誤りがございましたらご一報いただけますと幸いです。
こちらでも観られます↓
1984年/106分/アメリカ
Gremlins
監督:ジョー・ダンテ、脚本:クリス・コロンバス、製作:スティーブン・スピルバーグ、フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ、出演キャスト:ザック・ギャリガン、フィービー・ケイツ、ホワイト・アクストン、フランシス・リー・マッケイン、コリー・フェルドマン、ディック・ミラー
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