大ヒットである。社会現象である。
(C)吾峠呼世晴／集英社・アニプレックス・ufotable
興行収入歴代1位も遠くない。
キャラクターの着物柄をあしらうだけで、何でも売れる現象が日本経済を押し上げる。
あの柄の折り紙をダイソーで見かけた時に、商魂の呼吸を見る思いがした。
これぞブームの秘訣。
つまり、単純なものほど広がっていく。
鬼滅には、売れる要素がてんこ盛り。
主人公の竈門炭治郎（かまどたんじろう）は家族思いで努力家で不幸ばかりか、妹の禰󠄀豆子（ねずこ）も文字通りに背負う。
仲間の我妻善逸（あがつまぜんいつ）は母性愛をくすぐり、嘴平伊之助（はしびらいのすけ）は猪突猛進。
過去の面白漫画や映画からの影響も見え隠れする分かりやすさ。
大正時代の日本の景色も素敵仕様。
鬼退治である。
ただし、鬼は元人間なので。
波瀾万丈の過去があるので。
死に際に語る。語る。語ります。
鬼の話は長い。
そうして、全集中で泣かせにくるわけだ。
人が死んで鬼になる描写はゾンビ同様。
笑いあり、涙あり。
おまけにキャラ絵が良い。
可愛い禰󠄀豆子が竹を咥えているなんて、もうそりゃ売れる。
少年ジャンプ連載の漫画原作は未読。
TVアニメシリーズを一気見。
LiSAの主題歌を全力で歌いまくり、近隣に迷惑をかけ続ける中年(当方)が観た映画版もまた、人に歴史ありストーリーであった。
映画版は、次々に人が行方不明になった蒸気機関車・無限列車が舞台。
捜索に赴いた鬼退治の精鋭集団・鬼殺隊（きさつたい）vs鬼の戦闘である。
この戦いがとてつもなく美しい。
めくるめく色彩表現。
外崎春雄監督ならびに脚本制作ufotableの采配も素晴らしく、発注された各アニメスタジオの力量に圧倒される。
私事ながら当家が長年暮らした秋田県から、つむぎ秋田アニメLabも参加しており、嬉しい。
LiSAの主題歌『炎』は切なく悲しく、後を引く。
声優陣は皆、喉が焼けたのではないかと思う勢いの発声量。
れんごくきょうじゅろう、とiPhoneで入力すると「煉獄杏寿郎」と一発変換されることにも驚くが、このキャラクターの扱い方には驚かされた。
よもやよもやで「煉獄さん」と呼ばれる意味がわかった。
当方の姪が推す魘夢（えんむ）は色気の塊。男なのに、だ。おそらく姪は面食いだ。
当方が推す富岡義勇の出番が瞬きほどで、ズコーッとなる。
原作者の吾峠呼世晴（ごとうげこよはる）が女性というのは、嬉しさ倍増。
竈門炭治郎は、『ドラゴンボール』の悟空や『ワンピース』のルフィに通じる鉄板の少年漫画キャラクターだが、印象に大きな違いがある。
今の時点で、炭治郎の強さは主に努力で成り立っているからだろうか。
ストイックな訓練姿はボクシング物にも近い。
映画版もTV版と同様に、激烈な戦闘シーンの全てが美麗。
音楽の効果もあいまって、緊張が途切れない。
物語は、思いがけない展開である。
おそらく原作ファンはここぞというタイミングで、劇場がすすり泣きで満ちた。
人にも鬼にも歴史がある。
選んだ道があり、喜びも犠牲もある。
当方はだいぶ大人なので、泣きはしない。
が、大いに胸掴まれた。
原作は最終回を迎えたが、アニメシリーズはまだ続く。
この先どうなるのか、楽しみだ。
願わくば、鬼滅コスプレのブームにもこっそり乗っかりたい。
ピンクの着物で口にちくわを咥えて佇んでいるババアがいたら、それは当方です。ごめんなさい。
ただ、小生、ひとつだけ気になることがあった。
今作は、血がドバドバである。
痛々しく、グロい。
ジャンル分けするなら、ホラーアクションである。
子供に見せていいのか、と案じるレベルの出血量。
鑑賞に際してはPG-12指定であり、小学生は保護者の助言や指導が必要である。
実際、劇場には幼児もたくさん来場していた。
心配だ。
てなことを、子供時代に『犬神家の一族』で大はしゃぎした初老が言ってます。
スクリーン鑑賞
※当記事は個人の感想でございます。情報に誤りがございましたらご一報いただけますと幸いです。
禰󠄀豆子推しの方にオススメ↓
2020年/117分/日本
監督：外崎春雄、原作：吾峠呼世晴、出演：花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔、石田彰、小山力也、豊口めぐみ、榎木淳弥、櫻井孝宏
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