アメリカ合衆国憲法修正案13条とは
「奴隷的拘束の禁止」を定めているが、抜け道がある。
「except as a punishment for crime.(犯罪への処罰を除く)」の一文だ。
現在、アメリカで巻き起こっているBlack Lives Matter(黒人の命は大切)運動の根本であろう。
切迫感あふれるドキュメンタリーは、オバマ大統領(当時)の言葉から始まる。
「統計上アメリカの人口は世界の5%だが、受刑者は世界の25%を占める」
実に、受刑者数230万人。
世界一収監率の高い国は、中国でも中東でもない。
アメリカである。
それは、いったい何故なのか。
どうして黒人は警官に殺されるのか
奴隷解放運動を経て、黒人奴隷は鎖から解き放たれたはずだった。
白人と等しく自由を手に入れたはずである。
我々も、そう習ってきた。
自分がいかに無知蒙昧であったかと、愕然とする。
アメリカの人種差別が心情ではなく、システムとして確立されているのだと知って、多くの日本人は驚くのではないか。
各界の知識人や大学教授、人権運動家、歴史学者、元受刑者、政治家、企業側など。
インタビューに、各種のニュース記録映像を繋ぎ合わせて描き出される現実は、目を背けたくなるインパクトだ。
どうして黒人の犯罪者が多いのか。
どうして黒人の若者は簡単に殺されてしまうのか。
どうして白人の警官は黒人を殺すのか。
それは、この第13条を悪用しているから。
黒人の人権運動が起こる度に、心底の理解が出来ずにいた方も多いかと思う。
私事ながら、当方はまさにそうだった。
まさか、今なお、社会が奴隷制を持続させていたのだとは。
震撼である。
生命を脅かされるような恐ろしさ。
心の底から震える恐怖だ。
しかもこれは歴史ではなく、現在である。
アメリカという、眩しく輝く華やかな国(イメージ)で続く忌避すべき人種差別の実態である。
もしも、自分がアメリカに暮らす黒人男性であったなら。
人生に絶望するほかない。
スタッフについて
エバ・デュバーネイ監督
アフリカ系アメリカ人女性として初めて、サンダンス映画祭最優秀監督賞を受賞。
終盤に向けて力強さを増していくから、圧倒される。事実を重ね核心を暴くミステリーのよう。幕切れの勢いは後を引く。
Netflix
ジェイソン・モラン音楽
リサ・ニシムラ製作総指揮
この狡猾さが世界に広まれ
ネタバレ
「アメリカで、一生涯のうちで投獄される可能性は、
黒人男性の場合、3人に1人。
全米人口のうち、黒人男性はたった6.5%。
だが、全受刑者の40.2%を占める。
これは1850年の奴隷の数より多い。」(映画内から引用)
予告編
映画本編
100分ありますのでWi-Fi環境下か、ギガフリーでご覧ください。ショッキングな映像を含みます。
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※当記事は個人の感想でございます。情報に誤りがございましたらご一報いただけますと幸いです。
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