あらすじ
大人気漫画『賭博黙示録カイジ』の実写化、第3弾。前作から9年。まさか、最終章が待っていたとは。シリーズ物だが、今回のストーリーはオリジナル。
東京オリンピック後、一気に不況に襲われた日本。
劣悪派遣で日銭を稼ぐカイジの前に、以前、帝愛グループでナンダカンダあった班長が現れ、壮大な金儲け話を持ち掛ける。
大声でねじ伏せたい
まず、音量に注意だ。
基本、出演者が皆、大声である。腹式発声である。
顔面5センチメートルの距離で、罵倒。
キスしそうっ…!とオロオロするほどで、ゲームどころではない。
耳がキンキンになりやがるので、戦争映画を鑑賞する心構えが必要だ。
その辺り、実に反ソーシャルディスタンスなのである。
今なら映画化されなかったかもしれない。
助かった。
『カイジ 人生逆転ゲーム』『カイジ 人生奪回ゲーム』と同様、金儲けの手段はゲームである。
今回、ファイナルの名に恥じぬゲーム量だ。
カイジのゲームと言えば、頭脳戦。
生死を賭けるものも多い。
観客は手汗ビッショビショになる、という仕掛け。
主に、高所恐怖症(当方)がチビる段取り。
カイジは基本、無茶をするので。
とても良い意味でマンガ的な展開が待ち受ける。
だから、敵も魅力的。
大金を手にするために、体力・頭脳・時の運を駆使。
これほどの賢さがあれば他に何か出来そうなものだが、しない。
才能をドブにポイする男。
それが、カイジ。
キャスト、スタッフ
佐藤東弥監督
シリーズ3作を完走。日本テレビ所属。今も『ハケンの品格』の演出でご活躍中。毎度のご紹介で恐縮ながら、『新幹線大爆破』の佐藤純彌監督のご子息。破天荒さでは父に軍配だが、東弥監督の手堅さは安心して観ていられる。
私事ながら全6作の監督作品中、5本を観ていた。ファンなのか。
福本伸行原作・共同脚本
福本先生自らが考案の新ゲームであり、キャラクターなので、文句はゼロ。
藤原竜也
カイジ役。ご存知、逆カメレオン俳優。何を演じても、藤原竜也になる。それが許される。むしろ、それを観に行く。漫画の実写化であろうと、原作の印象は乗り越えていく。これぞ、スター俳優。
今回も『カイジ』ではなく、もはや『タツヤ』である。タツヤが叫ぶ。タツヤが慌てる。タツヤが汗する。うむ、最高。
吉田鋼太郎
敵役。藤原竜也の大声に勝てるのは、この人だけ。シェイクスピア劇を観ているようだ。声量合戦に、ちょっと笑う。たぶん、マイクの2、3本は逝っただろう。
福士蒼汰
敵役。大声の頑張りに目をみはる。なぜ、このクールイケメンまで大声に…そんな疑問は無意味。それが『カイジ』なのだから。
新田真剣佑
ナゾの人役。一転、無口である。筋肉も見せず、英語も喋らず、アクションも無し。と、真剣佑のアイデンティティを封じた役柄。だが、心情が浮かんでそれもいい。
天海祐希
美味しい役。活躍度に反して、印象深い。
松尾スズキ
改めて、原作の班長に激似。ある意味、唯一、原作を踏襲している。
圧倒的なギャンブル性
佐藤純彌監督のDNAにより、佐藤東弥監督もまた、社会派である。
ここで描かれる貧困や、派遣制度問題、不況などなど。
現実社会の問題も織り込む姿勢である。
全てのゲームには大金が賭かっており、裏社会のギャンブルである。
各種のゲームが毎度、実によく考えられていて楽しい。
映画の構成的にも観やすい。
さすがに今回、新鮮さは少なめであったが、無問題。
現実に行われていたら、検挙される事案だろう。
その賭け事に、命を懸けるギャンブラーたちの姿だ。
クズである。
クズがクズを蹴落とすのである。
こんなにハッキリとギャンブル中毒を描き、清々しくまとめあげるのだから。
1000億円を稼ぐため、額に汗してギャンブルをする。
何かが大いに間違っているわけだが、それがいい。
これが最後とは寂しい。
原作のカイジには全く似ていないけれどもっ…!
藤原カイジは悪魔的であった。
予告編
スクリーン
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