新しい地図の新しい映画
元SMAPの3人、稲垣吾郎、香取慎吾、草彅剛と飯島三智マネージャーが立ち上げた新事務所『新しい地図』。
彼らを応援している方は、SMAP時代にも増して多いかもしれない。
ジャニーズ事務所退社後、3人は髭を生やし始めた。
そのせいか、カッコよさがマシマシになった気がするのは、当方だけでしょうか。ぃや、きっと違う。
アイドル少年のまま年を重ねた彼らが、男の部分をむき出しにしてきている。
これは、受け止めなければならない…ゴクリ…
映画の中での彼らの表情に、ドキドキする人も多いかもしれない。
ナゼなら、男くさいからだ。
そんな等身大の彼らが主演。
この度、狼煙を上げるような4話によるオムニバス・ム―ビーが完成した。
予想よりも楽しくて驚いた(失礼)ので、1本ずつ少しずつ、お話させてください。
『ピアニストを撃つな!』
ご存知園子温監督・脚本、稲垣吾郎主演。
ヤクザの女に手を出したピアニスト。逃げる女は馬場ふみか。彼女を追うのはイカれたヤクザ。親分の浅野忠信がケッサク。子分の満島真之介が最高。カメラも走り、彼らも走る。この疾走感! 立ち上げ映画のオープニングにふさわしい、駆けっこだ。
『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』
電通出身の山内ケンジ監督・脚本、香取慎吾主演。
歌を喰う少女と、絵を描く男の出会い。元SMAPにダブるストーリーで、胸にグッとくる。香取慎吾っていいなあ!と思った。歌を喰う少女は中島セナで、ニコリともしなくて実に良い。古館寛治は当て書きのよう。トイレのシーンに嫌悪感が無いのは、初めて。個人的に4本中でいちばん好き。山内ケンジ監督は岸田戯曲賞も獲得していると知り、興味津々。
『光へ、航る』
爆笑問題の太田光監督・脚本、草彅剛主演。
定評のあるヤクザ芝居の草彅剛には、破綻が無い。亡くした息子の面影を探す夫婦の物語。妻役の尾野真千子は叫ぶシーンが多めなので、もう少しゆったりと観たかった気も。沖縄ロケや野球モチーフは、太田光監督から北野武監督へのオマージュだろうか。
『新しい詩』
ミュージックビデオ出身の児玉裕一監督・脚本。
これら3話を取りまとめて繋ぎ合わせ、キャストを大盤振る舞い。お祭りである。ここでも、香取慎吾っていいなあ!と実感。歌が良い。舞台経験の賜物で、発声が素敵だ。今後、ミュージカル映画も観たい。観せてください。
ジャニーズ事務所を離れて
ジャニーズ事務所に反旗を翻し、民放地上波から締め出された3人。
ネットに活路を求め、映画も作るとは。
当方のように、むしろ、SMAP時代よりも3人を目にしているネットユーザーは多いかもしれない。
カッコよいスーツに身を包んだ3人と監督4人による舞台挨拶の中継元の会場では、なんと写真撮影も可能。
ネット拡散してください、とのアナウンスもあった。
2週間で、動員15万人を目指す宣言もあった。
そのカウントアップを映画HPで毎日、更新しますと発表があった。
頼れるのはネットと口コミなんです、と。
「皆さんのお力が大切なんです!」と香取さんも仰っていた。
舞台挨拶中は太田光監督が一人ではしゃいでいらして、誰も止められず。
そうか、3人は誰もツッコミじゃないんだな…と、気づいた時の、誰かが何かが足りない感じ。
確かに、寂しくはある。
けれど、映画監督4人を立てようとする3人の姿は印象的であった。
オムニバス・ムービーは以前は多かったけれど、近年では少ない。
連作企画の何が魅力かといえば、監督の色が鮮明になるところ。
第4話に登場する各キャラクターの回想シーンは、本編3話を撮った各監督ではなく、4話担当の児玉裕一監督が撮られたそう。
同じキャラクターを撮っても監督によって違うものだなと、楽しめる。
映画ファンも、もちろんSMAPファンも、新しい地図推しも楽しめるバラエティセット。
秋田TOHOでの舞台挨拶ライブビューイング付き上映には、子どもからおばあちゃんまで、幅広い客層が集い、拍手も沸いていた。
まさに、国民的アイドル。
限定2週間上映ですから。お早めにどうぞ。どうぞ。
スクリーン
2018年・日本
監督・脚本:園子温、山内ケンジ、太田光、児玉裕一
製作:新しい地図
出演キャスト:稲垣吾郎、香取慎吾、草彅剛、浅野忠信、満島真之介、馬場ふみか、でんでん、神楽坂恵、中島セナ、古館寛治、尾野真千子、新井浩文
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