ネタバレあります!
原因不明という恐怖
ニューヨーク・ポスト紙で働く女性が、突然、病に侵される。
まだ若く、症状は様々。
各種の検査をしても病名が分からない。
失職の危機でもある。
ある日突然、原因不明の病に見舞われた女性の実話である。
ポスターやプロモーションでは、感動、という言葉が使われているけれども、鑑賞後の印象は少し、違った。
この病の症状を、細かくきちんと描いている。
病名が判明しないことで、家族間に生まれる苛立ちも描かれる。
闘病の感動モノというよりも、あるがままの医療ドラマだ。
この病は、ここ近年、世に多く知られるようになった。
認知される原動力となったのが、主人公の女性、スザンナ・キャラハンである。
彼女の体験から生まれるエピソードは、切実だ。
医療の啓蒙という意味でも、意義ある映画化だろう。
クロエ起用の効果
主役に、大人気クロエ・グレース・モレッツをキャスティングしたことも、大きい。幅広い年代に訴求するからだ。
ほとんど全編、具合が悪いので目の下のクマが凄まじい。
なのに、可愛らしいのだから、クロエ…こわい子…!(白目
彼氏役のトーマス・マンがフワフワしており、何やら気になる。
『キングコング 髑髏島の巨神』にもいたらしい、そう、いたいたいた…! あの若者か!(思い出しました。
友人役のジェニー・スレイトは『ギフテッド』に続き、今作でも良い。
『マトリックス』の勇ましきキャリー・アン=モスが母親役。
母の葛藤や弱さも見せてくれて、いいです。とてもいい。
インド系医師役のナビド・ネガーバンの説得力!
何か分からんけれども、治りそう感がスゴい。
ジェラルド・バレット監督はサンダンス映画祭で評価され、今作の製作担当、シャーリーズ・セロン(!)らの目に留まった。
大抜擢である。
エピソードの配分など、少し、物足りなさもある。
が、心情を炙り出してくれるので、満足感も高めだ。
同情よりも真実を
かわいそうかわいそうな、闘病モノではない。
病名に辿り着くまでが、ミステリー小説のようでもある。
医療に携わる人々の闘いであり、ザ・プロフェッショナルの様相でもあった。
アメリカの医療費を鑑みるに、この家族は恵まれていたことも想像出来る。
89分間の映画だ。
だからなのか、もう一歩、観たかった気もする。
とはいえ、ガッツリと医療的な展開になるだろうから、映画的ではないのかもしれない。
実は、この病気は…
ということを、ここから下で書いています。
各種映画情報でも書かれていますが、観るまでは何も知りたくない!という方はここでページを閉じてくださいませ。
↓病気について書いています。
↓ネタバレしております、未見の方はご注意くださいませ。
抗NMDA受容体脳炎とは
主人公スザンナの症状は、幻視から始まります。
体が痺れ、集中力は減退し、部屋の掃除も出来なくなりました。
幻聴も現れ、全身痙攣に襲われ、暴言を吐くようになります。
抗NMDA受容体脳炎という病名でした。
急性型の脳炎です。
『エクソシスト』のモデルになった病気といえば、分かりやすいかもしれません。
かつては「悪魔憑き」と呼ばれた症状の多くは、現在では、この病気だったのではないかと推察されています。
日本の「狐憑き」も同様です。
現在では治療法もあります。
もちろん、日本においてもケアされている病気です。
ご自身や周囲で似た症状に悩んでいる方がいらしたら、病名の検索と、信頼できる医療機関の受診をお勧めします。
↓原作です。ご参考までに―
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脳に棲む魔物
1,944円
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スクリーン(2018年鑑賞)
Brain on Fire
2016年・カナダ/アイルランド
監督・脚本:ジェラルド・バレット
製作:シャーリーズ・セロン 他
原作:スザンナ・キャラハン
出演キャスト:クロエ・グレース・モレッツ、トーマス・マン、リチャード・アーミテージ、ジェニー・スレイト、キャリー・アン=モス、タイラー・ペリー、アガム・ダーシ、ナビド・ネガーバン
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