口裂け女

 

都市伝説の誕生譚

ホワイトデーなので、白いマスクのホラー。

まず、このポスターは秀逸。だと思います。

 

ご存知、口裂け女である。

路上で、「ワタシキレイ?」と100人アンケート。

「キレイ」と答えると、「これでもかー!」とマスクを取る。

その下には、耳元まで切り裂かれた口があるという、究極のかまってちゃん。

 

私事の思い出ながら、この話が広まったのは、当方が中学生の頃。

校内がパニックになり、集団下校となった。どんだけ。

当時、ネットも無い時代に、だ。

あっという間に拡散された、都市伝説の女王だ。

 

その怪異譚に、文字通りに血肉を付けて映画化したのが、本作。

ある町に、口裂け女が現れる。

広まる噂。

出会ってしまった人たちが見舞われる、恐怖の数々。

 

耳馴染んだ話に広がりを持たせて、恐怖描写も切れ味が鋭い。

口裂け女の表情が何とも不安にさせるのだけれど、当時、想像した通りの出で立ちである。

妄想の再現度が高い。

 

 

怖哀しいホラー

マスクの質感が今と違うことに、ご注目だ。

口裂け女さん愛用品は、ガーゼ地である。

最近のマスクは、紙製で使い捨てが主流。

時代感!これだ、これ!

こういう時代の風を閉じ込めるのも、映画の役割だ。

 

そう考えると、口裂け女は現代では生まれにくい。

口裂け女は、薬局でマスクを買い溜めない。

マツキヨに並んだりしない。万引きなど、もってのほか。

ずっと同じ物を使っているから、狂気が滲む。

使い捨てではダメなのだ。

 

センセーショナルな都市伝説の、いわば、誕生秘話。

その脚本のアイデアに、ほう、と、大いに頷いてしまった。

ロケーションや画面の色味にも、雰囲気がある。

寂しい夕方の風景に、郷愁も感じる。

 

母と子がテーマである。

子どもをまともに愛せない親を描き、哀しみをプラスしている。

ショッキングなシーンも多くあるのに、やりきれない印象が残るのは、そのせいだ。

 

どんな経緯で、口裂け女は生まれたのか。

切なくも、もの哀しいホラーである。

 

 

怪演と怪演出

口裂け女役は、水野美紀。まさに、怪演である。

当時、事務所を退社後の時期で、キャスティングが話題になった。

顔立ちや細身のスタイルもあいまって、恐ろしくも美しい!

 

その美しさを作り上げた中田彰輝の特殊メイクが、見事!

 

教師役に佐藤江梨子。とにかく、細い。折り畳んでしまえそう。

不安にかられる役柄で、細さが活きている。

 

同じく教師役に加藤晴彦。唇の帝王。

実はホラー出演が多く、いつも安定して、良い。

 

松澤一之がいるのだけれど、私事ながら、劇団夢の遊眠社時代からのファンです。

 

1973年生まれの白石晃士監督は、口裂け世代ドンピシャ。

今作では得意のフェイクドキュメンタリーではなく、カメラは固定。

自身の大人気『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズ(←最高)でも、口裂け女を取りあげている。

最強の霊能力者・宜保愛子のTV特番と同様に、白石監督の原点だろうか。

ついつい、続けて観たくなる監督の一人である。

 

 

 

映画 DVD(2017年鑑賞)

 

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『口裂け女』
2006年・日本
監督・脚本:白石晃士
脚本:横田直幸
出演キャスト:佐藤江梨子、加藤晴彦、水野美紀、松澤一之、桑名里瑛、入江紗綾、坂上香織

 

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