君の膵臓をたべたい


クラスのアイドルが、友達のいない少年に近づいてくるのだ。

彼女は余命一年。

だから、やりたいことをやるのよと言って。

 

常に破顔している人気者は、病の辛さを感じさせない。

ああ、余命モノですね、と。

そりゃ悲しいよね、と。

斜に構えて観ていると驚くかもしれない。

 

まず、女子の圧倒的な手練(てだ)れ感にシビれる。

見た目は少女、中身は36歳OLといった趣。

 

グイグイと男子をリードするカワイコちゃん。

オロオロと戸惑う男子は清純まっしぐら。

いい。とても、いい。

 

 

 

人気女子を演じる浜辺美波から目が離せなくなるのは必至。

プロか。女としてのプロなのですか。

この余裕!貫禄!

東宝シンデレラ・オーディション出身でもあり、大物の予感。

 

北村匠海はスターダスト所属アイドルグループ、DISHの一員。
端正でまことに喜ばしい。

小栗旬の少年時代というよりも東出昌大に激似。この初々しさは得難い。

 

矢本悠馬がいる安心感。

 

小栗旬北川景子は難しい役どころかと思う。が、両名共にさすがのバランス感覚。

 

月川翔監督は原作に彩りを加えた。

ともすればクドく、鼻につくやもしれないアレコレを繊細に浮き上がらせてくれた。

 

青春映画のプロ、吉田智子脚本も胸に心地よい。

 

 

 

恋か。

と思えば、友情で。

生と死か。

と思えば、心の繋がりで。

 

ケレン味がありすぎるように思える展開も、観終わってみれば、これもリアルかと腑に落ちる。

 

とにかく、泣かせ攻撃が相当なのである。

これでもかと涙を誘ってくる。

そんな手には乗るもんかと。

クソッ泣くもんか、などと思わずに、いっそ泣いてしまうとよい。

 

当方、終盤、ぃや中盤から泣きどおし。

涙でTシャツさえも濡らしてしまった。赤ちゃんスタイが必要なほど。

 

クサイねとか、狙ってるねなんて上から構えそうになる汚れた心をゴシゴシしてくれる。

人生は有限。

そうだ、今できることは今やろう。

そんな気持ちを残してくれる。

 

少女と少年を繋ぐのは、やさしい気持ち。

それと、本の山。

図書室で過ごす青春の時間はパステル画のよう。

文庫本や雑誌や手紙。

アナログなアイテムが紡ぎ出す、温もり。

 

ミスチルのエンディング曲もあいまって、辛さよりも、爽やさが残るありがたさ。

 

 

 

映画 スクリーン(日本語字幕上映)

 

『君の膵臓をたべたい』
2017年・日本
監督: 月川翔
脚本: 吉田智子
原作: 住野よる
主題歌: Mr.children「himawari」
出演: 浜辺美波、北村匠海、大友花恋、矢本悠馬、桜田通、森下大地、上地雄輔、北川景子、小栗旬

 

[関連作品]
吉田智子脚本⇒ ホットロード

 


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