【65点】監督:森ガキ侑大

前半は退屈、中半からはエンジンがかかります。
江口のりこ、オンステージであることには間違いない。




原作:吉田修一、小説。未読。 

初瀬桃子 (江口のりこ) は夫・真守 (小泉孝太郎) とともに、真守の実家の敷地内に建つ離れで暮らしている。
桃子は義母・照子 (風吹ジュン) から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うかのように、石鹸教室の講師やセンスある装い、手の込んだ献立といった丁寧な暮らしに勤しんで日々を充実させていた。
そんな中、近隣のゴミ捨て場で不審火が相次いだり、愛猫が行方不明になったり、匿名の人物による不気味な不倫アカウントが表示されるようになったりと、桃子の日常が少しずつ乱れはじめる。




江口のりこ、主人公の初瀬桃子。
普通でありながら、少し不気味な女性、後半の暴走はもっともっと壊れてほしかった。
共同ゴミ捨場のカラスを追い払う勇気 (というか狂気)、しっかりピリピリと狂っていましたよ。
シャワーシーンでは、バスト (おっぱい) も出しちゃって、ハラハラしました。
旬な女優さんです。主演、助演、シリアス、コメディ……今後、どこに向かっているのでしょうか?



小泉孝太郎、夫・真守。
ダメな奴です。好漢・孝太郎の正体は、実はこうなんじゃないか?と思わせるほど良かったです。
視線の焦点が合っていないし、無関心な表情、バラエティ番組で見る孝太郎じゃありません。



風吹ジュン、義母・照子。
普通の義母を好演。桃子を好きでも嫌いでもない、単なる息子の嫁、この感じがわかりました。嫌味ではなく、当たり前の嫌な感じです。



馬場ふみか、真守の不倫相手・奈央。
もったいない!もっと出番というか、見せ場がほしい。



セットを使わず、実際の民家を借りて撮影したそうです。
フィルム撮影の画質もあいまって、昔からの古い家を表現しています。
私、63歳ですが、この家は住みたくありません。桃子がリフォームしたがる気持ちがわかります。m(__)m



一緒のベットで寝ているが、セックスレス。

桃子の微妙な誘いを、絶妙に無視する真守。笑えません、残酷な描写です。怖い描写です。2回もありましたね………。




(以下ネタバレ)





真守が不倫相手の奈央と会ってくれと、桃子に言ってからが面白い。
・3人で会う喫茶店で、相手の妊娠がわかり、壊れる寸前の桃子。声のトーンが激変します。
・奈央のアパートをつきとめ、スイカを持って乗り込む桃子。スイカが怖い。
・チェーンソーを購入し、家の地下を掘り起こす桃子。
…江口のりこの狂気と、何も出来ない小泉孝太郎のダメっぷり。



「お前といても全く面白くない!」と決定的な発言を放つ真守に、バキッと折れる桃子の心。
…このシーン、グサリと来ました。


ゴミ捨て場所の火事 (放火) に遭遇し、なぜかひたすら逃げ走る桃子。

離れの家の解体、アイスを食べながら放心したの桃子。
ラストの桃子の、心の中身がわかりません。

原作の筋書きや監督の狙いとは異なるかもしれませんが、

もっともっともっと……映画的な狂気の爆発 (=乱暴) がほしかった。しかしそれでは、ホラーになってしまいますね。m(__)m