【70点】監督:前田哲

映画全体 (共演者や監督以下スタッフ) が、草笛光子さんをリスペクトしているのがわかります。
実年齢90歳、頭が下がります。


作家・佐藤愛子が日々の暮らしと世の中への怒りや戸惑いを独特のユーモアでつづった、ベストセラーエッセイ集を映画化。原作未読。
佐藤愛子先生は、現在100歳とのこと。凄すぎて、目がテンになります。



これまで数々の文学賞を受賞してきた作家の佐藤愛子 (草笛光子) は、90歳を過ぎた現在は断筆宣言して人づきあいも減り、鬱々とした日々を過ごしていた。
そんな彼女のもとに、中年の冴えない編集者・吉川真也 (唐沢寿明) がエッセイの執筆依頼を持ち込んでくる。
生きづらい世の中への怒りを歯に衣着せぬ物言いでつづったエッセイは思いがけず大反響を呼び、愛子の人生は90歳にして大きく変わり始める。



草笛光子、大作家の佐藤愛子。
文句なし!活舌良く、動きも軽やかです。
今年の映画賞、功労賞ではなくて堂々主演女優賞を贈りましょう。



唐沢寿明、編集者・吉川真也。
定年間際のアップデートに乗り遅れた編集者、会社から疎外されているのことに、少し鈍感すぎます。
女房と娘に愛想を尽かされるのも、鈍感すぎます。
この鈍感さも、ボサボサの髪型も、唐沢寿明だから許されるのです。



木村多江、真也の妻・吉川麻里子。
冒頭の離婚を悩む新聞の投書の話と、愛子先生、編集者の夫の関係は、わかりやすかったです。
中半の顔を見せないで、夫とパソコン会話のシーンは、きついですね。
後半、きちんと離婚する (と思われる) のは良かった。



真矢ミキ、愛子の娘・杉山響子。
何か限りなくノーメイクに近かったような気がしました。これ、凄くない?
本当の娘に見えましたよ。


オダギリジョー、清水ミチコ、LiLiCo、石田ひかり、三谷幸喜、全員合格!




特に笑ったのは三谷幸喜のタクシー運転手、「ビートたけしの鬼瓦権造」のパクリに見えましたが、「たけし」より出来映えが良かったです。




原稿を依頼するときの、菓子折りのやりとり、これって今々でもやってるの?
経費扱い?編集者の自腹?何か古くないですか?



ストーリーは、予想通りです。
エッセイが大当たりしたのも事実なので、納得します。

けっこう高齢者のお客様が、映画館に入っています。

良いことです。



大きな不幸や、苦しみはなく、愛子先生だけでなく周囲の人も、ハッピーエンドで満足です。
(ぬるいとかユルい…は、禁句の雰囲気、かな。m(__)m )



エンドロールで佐藤愛子先生の、ホンモノの写真がいくつも出てきて納得します。
(映画に出てきた、仮装して孫と撮った写真のエピソード、本当だったんですね。)

ほのぼのします。