【85点】監督:山下智彦

鬼平のべらんめえ口調が、心地よく染み渡ります。
時代劇、いいじゃないですか!


原作:池波正太郎、シリーズ小説。未読。m(__)m

長谷川平蔵 (松本幸四郎) のもとに、彼が若い頃に世話になった居酒屋の娘・おまさ (中村ゆり) が現れ、密偵になりたいと申し出る。
平蔵にその願いを断られたおまさは、平蔵が芋酒屋主人と盗賊の2つの顔を持つ鷺原の九平 (柄本明) を探していることを知り、独断で調査に乗り出す。



「悪を知って外道に落ちるか、悪を知って外道を憎むか。」上手く脚本化しました。
主人公の鬼平こと長谷川平蔵の、過去と現在を交錯させ、因縁をつなげる構造です。
(予想より、過去のパートが少なかったです。バランス的には正解。)


【知ってる役者さん多数出演します。お得感あります。】


松本幸四郎 (十代目)、主人公の鬼平・長谷川平蔵。
若い頃とは違って、貫禄 (体重も) がついて、立派な「鬼平」です。
歌舞伎役者の血でしょうか、時代劇に馴染んでいます。
51歳なので体力もまだあり、立ち回りも見せ場たっぷりあって、スカッとしました。



市川染五郎 (八代目)、若き日の鬼平・長谷川銕三郎。
どうして不良のような生活しているのか?この映画だけではわかりません。

怒りの演技が中心の過去パートなので、演技は??かな。(19歳、これからです。)



北村有起哉、綱切の甚五郎。
極悪非道の盗賊団のボス、悪党を好演。
セリフの活舌が良いので、ワルの啖呵がカッコよく聞こえちゃいます。
最近知ったのですが、お父様は名優「北村和夫」様なんですね。m(__)m


柄本明、鷺原の九平。
この人がラスボス?と思っていたら、全然良い泥棒でした。
芋酒、飲みてぇー。
走るシーンとかありますが、75歳、無理せず頑張ってください。


浅利陽介、鬼平の手下・木村忠吾。
コメディリリーフとして、イイ味出しています。
下ネタ話は、絶妙。

仙道敦子、平蔵の妻・久栄。
お久しぶりです。良妻賢母、納得のキャスティングですね。


中村ゆり、密偵・おまさ。
なぜ、そこまで鬼平の密偵になりたいのか?徐々にわかって来ます。
若き日の鬼平を兄のように慕っていた泥棒の娘。(過去パートは別の若い女優さん。)
悲しさ (不幸) が似合う顔と瞳です。(保険会社のCMも影響してるよな…)
後半、凌辱されたあとの表情は、文句なしに美しい。

志田未来、引き込み・おりん。
これまた美しい。瞳が大きく潤んでいますよ。
私の中の子役イメージを、払拭する美しさです。
甚五郎の女でありながら、中半で甚五郎に殺されてしまうシーンは無念。

松本穂香、おろく。
若き日の鬼平の女、これまた美しいが、殺されちゃうのです。無念。



★中村ゆり、志田未来、松本穂香…三人ともめちゃくちゃ綺麗で、不幸に撮っている。
監督はドSか?


(以下ネタバレ)



甚五郎の盗賊団との血闘が、2回あるのは正解。
1回目はおまさ救出、2回目は罠に墜ちる鬼平。
鬼平が単独で戦う状況に追い込まれる流れも、映画としては正解です。
特に2回目では、弓矢を使っているので、立ち回りのバリエーションが広がります。
悪党をきっちりと斬る。鬼平はこれでよいのです。



本作、二代目・中村吉右衛門版のTVドラマで、梶芽衣子が演じていた「おまさ」の前日譚だったのですね。
ということで、おまさは死にません。(良かった。)



エンディング途中での「時代劇チャンネル」次回作への予告ショット。
MARVELのパクリですが、十分に有りですよ。