【60点】監督:松居大悟


前半は奇想天外+「好き」の破壊力で傑作の予感ですが、

後半は着地点を見い出せずに失速。

惜しい。



原作:高木ユーナ、漫画。未読。


長谷部りの (見上愛) は幼い頃に出会った甲野じゅん (佐藤寛太) を運命の相手だと信じ、彼のことを忘れらずにいた。
中学生になったりのはじゅんと再会を果たし、後輩で陸上選手の彼に思いを伝え続けるが、ついに両思いになった瞬間、彼はこつ然と消えてしまう。
しかも彼がこの世に存在しなかったかのように、誰もじゅんのことを覚えていないという。
その後もじゅんは、高校の軽音楽部の先輩、車椅子に乗った男性、バイト先のクリーニング店主など別人となって、りのの前に現れ、両思いになると消えるという不思議な現象を繰り返していく。
そして、大学生になり、運命の相手・甲野じゅんと出会う。



真っ直ぐな彼女の告白、両思いになった瞬間、彼は姿を消す。
どういう仕掛け?まさかSF?
原作の漫画が未完 (というか打ち切り?) の情報を鑑賞前に知ったので、映画としての結末が逆にドキドキしましたね。

主人公二人の男女の立場を逆にしたとのことですが、全然違和感なし。



見上愛、主人公の長谷部りの。
圧倒的な突進力、少しカエル顔な笑顔力、大合格です。
ギターと歌、これホンモノですよね。素晴らしい!
顔が「小松菜奈」に似ていると声が上がっていますが、屁のかっぱです。
新人賞にノミネートします。


佐藤寛太、運命の相手・甲野じゅん。
5人の演じ分け、ご苦労様です。劇団EXILEなんですね、鑑賞後知りました。
中学生役はきついかな?と思いましたが、陸上での走るリアルさはホンモノです。
「正欲」(2023年) では心に残りませんでしたが、今回はバッチリ残りました。


青木柚、りのの同級生・田中。
本当は「りの」のことが好きなんだよね、痛いほど伝わります。


前田敦子、クリーニング店のバイト先輩。
わけありのキーマンかな?で登場したのですが、中途半端な位置づけでした。
ちょっと、もったいない使い方です。



前半は飛ばしすぎで、4人 (①中学の陸上部の後輩、②高校の軽音楽部の先輩、③車椅子に乗った男性、④バイト先のクリーニング店主) と遭遇します。
中半からの5人目の大学生・じゅん、記憶が1日しか持たなく、翌日リセットされてしまう。


「両思いになった瞬間、姿を消す。」

この問題と、どうリンクさせて着地させるのか?

「好き!」と告白しても、翌日は記憶がなくなっているので両思いにならない。

ってことですか?なんかモヤモヤします。



(以下ネタバレ)




結末は、4人目までは全て両思いではなかったのです。
りのは、フラれていたのです
その事実を受け入れずに、消えたことにしていたのです。

ガーン!何コレ?

(だいぶ引きました、記憶捏造って、病気なの?)
謎解きの過去シーン、名前の似ている別人だって……弱っちゃいます。


5人目は名前もホンモノで甲野じゅん。
ここから純愛ストーリーで、1日しか持たない記憶問題も、あいまいです。
病院に搬送された原因は?
冒頭のファーストシーンとの関連は?
結末部分は原作にないので、監督・脚本家が頑張ってみたものの手に負えなかったのかな。



ラストシーンのタイミングが、ダラダラです。(終わりそうで終わらないの、繰り返しです。)
①病院での、りのとじゅんが抱き合うシーン。
②退院後の大学での、告白シーン。
③その後の、実家での抱き合うシーン。(結局これです。)
②か①が良いです。

ハッピーエンドへの引っ張りすぎは、日本映画の一番の弱点です。