【90点】監督:小路紘史 (脚本も)

凄いモノを観ました。

生々しい=リアリティーの究極。

面白いッ!日本映画、やるじゃないか!
自主制作、R15+。
2023年・第36回東京国際映画祭「アジアの未来」部門出品。



裏稼業で生計を立てる孤独な男・辰巳 (遠藤雄弥) は、元恋人である京子の殺害現場に遭遇し、その場にいた京子の妹・葵 (森田想) を連れて逃亡する。
最愛の家族を奪われた葵は、姉を殺した犯人に復讐することを決意する。
犯人を追う旅に同行することになった辰巳は生意気な葵と反発し合いながらも、彼女を助けともに過ごすなかで、ある感情が芽生えてくる。



ヤクザ組織 (小規模で半グレもいる弱小団体?) の覚醒剤をめぐる内部抗争劇。
ストーリーとしては広がらないし、たいして面白くないのですが、役者の熱量が面白い映画に変えてしまいます。(役者だけでなく、監督の力量も凄いですね。)



脅す、威嚇する、怒鳴る…他の日本映画より、ワンランク上の熱量です。
演技なのに、マジ怖いし、嫌悪感ハンパないです。

当然、殴る、蹴る、刺すも、ガチで痛いです。目を背ける快感…R15+を堪能しました。(何だソレ。)





遠藤雄弥、主人公の辰巳。
ヤクザ組織の一員ですが、一匹狼的な存在。バラし屋という死体解体始末屋のシール、吐き気がしますがキャラクターが立ちます。
正義でもなく、悪でもなく、イライラが伝わります。



森田想、復讐の葵。
不美人 (ブス m(__)m) の度合いがハンパなく合ってます。
後半に見せるいじらしさや、心情の吐露には、女性としての可愛も感じました。
でも…この娘が覚醒剤をパクッたことが、原因なんだよね。



亀田七海、葵の姉で、辰巳の元カノの京子。
何だ、この美女は?メガネ顔も、抜群の破壊力です。
葵と姉妹に見えません。血、つながってないよな…映画観ながら、余計なことを考えてしまいました。



後藤剛範、辰巳の盟友?後藤。
ヤクザではないが、非合法?の廃棄物処理が仕事なようです。
とにかく「顔」です。m(__)m
驚きます、圧倒されます、威圧されます……恐怖は薄いです。
ノーマークでした、売れてほしいです。



佐藤五郎、ヤクザ組織の兄貴。
ヤクザの部長クラス?揉め事の後始末や、金策に追われ、中小企業の管理職の悲哀を感じました。
坊主頭の風貌が、「大都会」「西部警察」シリーズの苅谷俊介を連想しました。



倉本朋幸、半グレの竜二。
マジで怖いです。絶対にかかわりたくない存在です。その狂暴性は素なの?そのくらい、凄い暴力表現です。
でも、本業は舞台演出家だそうで、いやはやなんとも…


(以下ネタバレ)



姉を竜二に殺された葵 vs 弟を葵に殺された竜二。
そこに巻き込まれた、辰巳。
どっちもどっちの位置関係です。正義はどこにもありません。(これが良い。)

辰巳と葵は竜二を殺しますが、辰巳は傷を負います。

辰巳は兄貴と話しをつけて、葵を救います、そして命を落とします。

(銃撃シーンやカースタントが極端に少ないのは、制作費の問題と推測します。m(__)m)


葵は、拳銃を捨てて、再生を予感させるエンドマーク。

ベタだけど、じんわりと熱い。




最後の最後まで、持続する緊張感に圧倒されます。(ポップコーン、ほとんど食べるの忘れちゃいましたよ。)

メジャー映画関係者の皆様、
小路紘史監督に30億ぐらい渡して、壮絶なドンパチ映画を撮ってもらいましょう!