【90点】1998年4月。石ノ森章太郎、朝日ソノラマ。


ぶ厚い本ですが、一気に読めます。
PART1~PART5までが少年マンガにおける「009」の抜粋版。
PART6で一休みして、PART7が青年マンガの「神々との戦い」。
石ノ森章太郎の躍動から悩み、凄みが感じる一冊です。


PART1 009誕生
001から009まで、誕生秘話が丁寧に描かれています。
アイザック・ギルモア博士/001:イワン・ウイスキー/002:ジェット・リンク/003:フランソワーズ・アルヌール/004:アルベルト・ハインリッヒ/005:ジェロニモ・ジュニア/006:張々湖/007:グレート・ブリテン/008:ピュンマ/009:島村ジョー。

PART2 暗殺者
サイボーグ0010から0012までの戦いをダイジェストて紹介し、0013との戦いをメインに描く。0013がひたすら悲しい。


PART3 サイボーグマン
舞台をベトナム戦争の現地に移しての、ブラックゴーストとの戦い。ベトナム戦争というキーワードがドキリとさせます。

PART4 ミュートスサイボーグ
超能力者との戦い。サイボーグと超能力者の違い、ともに異能者の苦しみ。


PART5 地下帝国「ヨミ」
ブラックゴーストとの最終決戦。一般的には、ここが最終回と思っている人、多いと思います。
伝説のラスト、
「ごらんよ009!宇宙の花火だ!ブラックゴーストのさいごだぜ!」
009と002が力尽きて、大気圏から流れ星になって死んでいく……感動します。




PART6 大いなる戦い 「名作扉絵でたどる戦いのあと」
真空戦争編/黄金のライオン編/中東編/移民編/ローレライの歌編/海の底編/雪のカーニバル編/エッダ編/ディノニクス編/グリーンホール編/幻影島編/怪奇星編/の12枚の扉絵と要約解説。



PART7 神々との戦い
…画風が変わり、サイボーグたちの心情も暗く鬱に沈んでいきます。


プロローグ:神とは?悩める島村ジョー。
その1:文明の謎の解説に終始し、歴史の勉強時間か。
その2:004登場し、敵と遭遇。
その3:008登場して、人間へ戻りたいと吐露。(008の絶望的な表情)
その4:敵に操られる002と005。
その5:001、心を読む。001~009最後の全員集合。

この辺から、セリフが少なくなっていき、登場するのは009のみ。



その6:イースター島での幻影。
その7:アロライ島での幻影。
その8:歴史と文明の進化の絵の描写。謎の人物は誰?
その9:さらに地球の描写。(もはや絵のみ)
エピローグ:正体は無数の円盤=神?「天使」
(未完)

…PART7を読んでいて思ったのですが、
この「神々との戦い」のみアニメ化ではなく、実写化という手もあります。
観念的ではありますが、地球の崩壊 (救済?) を目論む天使vs悩めるサイボーグたち。
アクション少なくなるので、難しいかな。




『サイボーグ009「その世界」のこれから』
石ノ森章太郎先生の長文が掲載されています。
構想はほぼ完成しているのに描けない苦悩と、「天使編」への意気込み。
読者に対する優しい気づかいと責任感が感じられます。

ありがたい、お言葉です。