【90点】2019年6月。八千草薫、主婦と生活社。




八千草薫:日本を代表する大女優、元祖癒し系といってもよいと思います。

映画80本以上、TVドラマ100本以上、主役・脇役・端役 (ゲスト出演) と多々ありますが、ほとんどコンスタントに出演そ続けています。素晴らしい。

2019年10月、88歳没。

最後の著書です。

まあまあふうふう…馬馬虎虎。中国の故事成語で「いい加減」「なおざり」という意。八千草薫さんはこの言葉が好きで「(ちょうど) 良い加減」と解釈しています。「歳をとる」のは誰もが初めて。



~まえがきにかえて~

『「歳をとる」というのは、誰も皆、やったことがないですから。誰もがみんなそれぞれ初体験。私も、ここから先は初めての道です。「初めてのことなんだから、楽しんでやっていければいいな」そう思っています。』

……この文章を読んだ瞬間に、目から鱗 (うろこ) が落ちました。私、63歳、まさに心に染みる名言です。



1章 日々のこと。暮らしのこと。

……先にお亡くなりになった夫であり映画監督である、谷口千吉さんのことが本当に大好きなんあですね。いくつもの夫婦のエピソード、尊敬と愛情、少し恥ずかしくなるぐらいラブラブなのです。

『「転ばないように」を考えすぎない。』本当にその通りですね。




2章 山のこと。自然のこと。

……山が好き、山登りが好き…私には到底理解できませんが、素晴らしいことだと感じました。(山登ってみるかな、嘘です。m(__)m)




3章 芝居のこと。仕事のこと。

……女優としての生きざま、仕事に対する向き合い方、頭が下がります。

『ちょっとでも、怠けない。』プロフェッショナルですね。




4章 歳をとること。生きること。

……乳がん、すい臓がん、肝臓がん、大変なことなのですが前向きです。痛々しさが感じられません。私も、がん経験者 (胃がん) でしたが、弱気になり鬱々としていた時期がありました。(9年前…)

『転移しても、お腹はすく。』『今を、きちんと生きる。』またまた、目から鱗が落ちました。小さなところで、幸せに、楽しく。




~あとがきにかえて~

……本全体として、カラー写真が多くて楽しめます。八千草薫さんの表情だけでなく、家、服、装飾…等々、穏やかな生活の匂いがします。



●2本のTVドラマが、強烈に心に残っています。



「岸辺のアルバム」(1977年・全15話。TBS。脚本:山田太一。家族に隠れて不倫する主婦・田島則子役。)

……八千草薫さんだけは、何があっても絶対に不倫しないと信じていたので愕然としました。不倫相手の竹脇無我、許せん!



「阿修羅のごとく」(1979年・全3話、1980年・全4話。NHK。脚本:向田邦子。平凡なサラリーマン家庭の主婦・里見巻子役。)

……4姉妹 (長女:加藤治子、次女:八千草薫、三女:いしだあゆみ、四女:風吹ジュン) の、葛藤と戦いと駆け引きと優しさが見事な大傑作。