テレビドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)の、原作者で漫画家の芦原妃名子さんが死亡していた問題。


●SNSやコメントを時系列に記します。

●脚本家・SNS (2023/12/28)
「『セクシー田中さん』最終回についてコメントやDMをたくさんいただきました。まず繰り返しになりますが、私が脚本を書いたのは1~8話で、最終的には9・10話を書いたのは原作者です。誤解なきようお願いします。
ひとりひとりにお返事できず恐縮ですが、今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした。
この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています。
どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように。」



●芦原妃名子さん・SNS (2024/1/26)
「ドラマ「セクシー田中さん」をご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。
色々と悩んだのですが、今回のドラマ化で、私が9話、10話の脚本を書かざるを得ないと判断するに至った経緯や事情を、きちんとお伝えした方が良いのではと思い至りました。
この文章を書くにあたって、私と小学館で改めて時系列にそって事実関係を再確認し、文章の内容も小学館と確認して書いています。
ただ、私達は、ドラマの放送が終了するまで、脚本家さんと一度もお会いすることはありませんでしたし、監督さんや演出の方などドラマの制作スタッフの皆様とも、ドラマの内容について直接お話させていただく機会はありませんでした。
ですから、この文章の内容は私達の側で起こった事実ということになります。
「セクシー田中さん」は一見奇抜なタイトルのふざけたコメディ漫画に見えますが…。
自己肯定感の低さ故生きづらさを抱える人達に、優しく強く寄り添える様な作品にしたいという思いが強くあり、ベリーダンスに纏わる方々の思いにも共鳴しながら、担当編集と共に大切に描いてきた漫画です。
ドラマ化のお話をいただき、当初の数話のプロットや脚本をチェックさせていただきながら、最終的に私が10月のドラマ化に同意させて頂いたのは6月の上旬でした。
「セクシー田中さん」は連載途中で未完の作品であり、また、漫画の結末を定めていない作品であることと、当初の数話のプロットや脚本をチェックさせていただいた結果として、僭越ではありましたが、ドラマ化にあたって、
・ドラマ化するなら「必ず漫画に忠実に」。漫画に忠実でない場合はしっかりと加筆修正させていただく。
・漫画が完結していない以上、ドラマなりの結末を設定しなければならないドラマオリジナルの終盤も、まだまだ未完の漫画のこれからに影響を及ぼさない様「原作者があらすじからセリフまで」用意する。
原作者が用意したものは原則変更しないでいただきたいので、ドラマオリジナル部分については、原作者が用意したものを、そのまま脚本化していただける方を想定していただく必要や、場合によっては、原作者が脚本を執筆する可能性もある。
これらを条件とさせていただき、小学館から日本テレビさんに伝えていただきました。
また、これらの条件は脚本家さんや監督さんなどドラマの制作スタッフの皆様に対して大変失礼な条件だということは理解していましたので、「この条件で本当によいか」ということを小学館を通じて日本テレビさんに何度も確認させていただいた後で、スタートしたのが今回のドラマ化です。
ところが、毎回、漫画を大きく改編したプロットや脚本が提出されていました。
・漫画で敢えてセオリーを外して描いた展開を、よくある王道の展開に変えられてしまう。
・個性の強いキャラクター、特に朱里・小西・進吾は原作から大きくかけ離れた別人のようなキャラクターに変更される。
・「性被害未遂・アフターピル・男性の生きづらさ・小西と進吾の長い対話」等、
私が漫画「セクシー田中さん」という作品の核として大切に描いたシーンは、大幅にカットや削除され、まともに描かれておらず、その理由を伺っても、納得のいくお返事はいただけない。といったところが大きなところですが、他にも細かいところは沢山ありました。
「特にハマったキャラクターに変えないでいただきたい。私が描いた「セクシー田中さん」という作品の個性を消されてしまうなら、私はドラマ化を今からでもやめたいぐらいだ」と、何度も訴え、どうして変更していただきたくないのかということも丁寧に説明し、粘りに粘って加筆修正し、やっとの思いでほぼ原作通りの1~7話の脚本の完成にこぎつけましたが…。
脚本家さん、監督さんといったドラマの制作スタッフの皆様と、私達を繋ぐ窓口はプロデューサーの方々のみでしたから、プロデューサーの方々が当初「ドラマ化の条件」として小学館から日本テレビさんに伝えていただいた内容を、どのように脚本家さんや監督さん、ドラマの制作スタッフの皆様に伝えていらっしゃったのか、残念ですが私達には知る術はなく、当初お伝えした「ドラマ化の条件」はどうなってしまったのだろう?という疑問を常に抱えた状態での加筆修正の繰り返しとなって、その後には私も相当疲弊していました。
そして、私があらすじ、セリフを準備する終盤のドラマオリジナル展開は8話~10話となりましたが、ここでも当初の条件は守られず、私が準備したものを大幅に改変した脚本が8話~10話まとめて提出されました。
特に9話、10話の改変された脚本はベリーダンスの表現も間違いが多く、ベリーダンスの監修の方とも連携が取れていないことが手に取るように分かりましたので、「当初の約束通り、とにかく一度原作者が用意したあらすじ、セリフをそのまま脚本に落としていただきたい」「足りない箇所、変更箇所、意見はもちろん伺うので、脚本として改変された形ではなく、別途相談していただきたい」といったことを、小学館から日本テレビさんへ申し入れていただきましたが、その後も、大幅に改変されたプロットや脚本が提出され、それを小学館サイドが「当初の約束通りに」と日本テレビさんにお戻しするという作業が数回繰り返されたと聞いています。最終的に、日本テレビのチーフプロデューサーの方から「一度そのまま書くように」と指示が出たと伺っていましたが、状況は変わらぬまま4週間が過ぎてしまいました。
ドラマの制作スケジュールのリミットもどんどん迫っていましたので、本当はドラマオリジナルとなる8話~10話全ての脚本を拝見してオリジナル部分全体で、加筆修正させていただきたかったのですが、8話だけ、何とか改変前の内容に修正させて頂いて、日本テレビさんにお渡しすることになってしまいました。
9話、10話に関する小学館と日本テレビさんとのやりとりを伺い、時間的にも限界を感じていましたので、小学館を通じて9話、10話については、当初の条件としてお伝えしていた通り、「原作者が用意したものをそのまま脚本化いただける方」に交代していただきたいと、正式に小学館を通じてお願いしました。
結果として、日本テレビさんから8話までの脚本を執筆された方は9話、10話の脚本には関わらないと伺ったうえで、9話、10話の脚本は、プロデューサーの方々の要望を取り入れつつ、私が書かせていただき、脚本として成立するよう日本テレビさんと専門家の方とで内容を整えていただく、という解決策となりました。
何とか皆さんに満足いただける9話、10話の脚本にしたかったのですが…。素人の私が見よう見まねで書かせて頂いたので、私の力不足が露呈する形となり反省しきりです。
漫画「セクシー田中さん」の原稿の〆切とも重なり、相当短い時間で脚本を執筆しなければならない状況となり、推敲を重ねられなかったことも悔いています。
9話、10話の脚本に不満をもたれた方もいらっしゃるかと思います。どのような判断がベストだったのか、今も正直正解が分からずにいますが、改めて、心よりお詫び申し上げます。
最後となりましたが、素敵なドラマ作品にして頂いた、素晴らしいキャストの皆さんや、ドラマの制作スタッフの皆様と「セクシー田中さん」の漫画とドラマを愛してくださった読者と視聴者の皆様に深く感謝いたします。」

★芦原妃名子さん、2004/1/26のSNSを削除しました。
…悲しい訴えです。涙が出ました。
ここまで追い込まれていながら、気づかいを忘れない心遣い……心中お察しします。



●芦原妃名子さん・SNS (2024/1/28)
「攻撃したかったわけじゃなくて。
ごめんなさい。」


★2024/1/29に栃木県内で死亡しているのが見つかった芦原さん。現場の状況から自殺を図ったとみられます。



●日本テレビ・コメント1 (2024/1/29)
「芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。2023年10月期の日曜ドラマ『セクシー田中さん』につきまして日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております」


●日本テレビ・コメント2 (2024/1/30)
「芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。日本テレビとして、大変重く受け止めております。ドラマ『セクシー田中さん』は、日本テレビの責任において制作および放送を行ったもので、関係者個人へのSNS等での誹謗中傷などはやめていただくよう、切にお願い申し上げます」



★小学館まで、沈黙する。
小学館は2月6日に社員向けの説明会を開催。同社関係者によると、現時点で同社が今回の件に関する経緯などを社外発信する予定はないとの説明があった。出版活動にあたっては、今後も作家に寄り添うことを誓い、その姿勢を改めて作家に伝えていくという。
……まさか、日本テレビとグルなのですか?



★日本テレビ様、小学館様、
1.第三者調査機関を設置しないのは、なぜですか?
2.ドラマのチーフプロデューサー、小学館の交渉窓口 (二人とも現場責任者) は、説明会見をしないのですか?
3.社長 (会社責任者) は、説明会見をしないのですか?

このまま沈黙して、逃げ切る作戦なのかな。
ブラック企業、決定になってしまいますよ。


★映画ブログなので、唐突ですが、
日本テレビ・ドラマ・ベストテン!


1位:「大都会part2」
(1978年。渡哲也、松田優作)

2位:「傷だらけの天使」
(1975年。萩原健一、水谷豊)

3位:「悪女 (わる)」
(1992年。石田ひかり、倍賞美津子)


4位:「コタツがない家」
(2023年。小池栄子、吉岡秀隆)

5位:「俺の話は長い」
(2019年。生田斗真)


6位:「女王の教室」
(2005年。天海祐希)

7位:「働きマン」
(2007年。菅野美穂)

8位:「野ブタ。をプロデュース」
(2005年。亀梨和也、堀北真希、山下智久)


9位:「探偵物語」
(1980年。松田優作)

10位:「警視‐K」
(1980年。勝新太郎)

次点:「水もれ甲介」
(1974年。石立鉄男)


お粗末様でした。