【65点】監督:戸田彬弘

杉咲花、大熱演だが、入れ込みすぎで空回りかな?m(__)m
市子の未来が見えません。
原作・監督は、どこに着地したかったのでしょうか?



劇団チーズtheaterの舞台『川辺市子のために』を、原作者の戸田彬弘が映画化。

市子 (杉咲花) は、3年間共に暮らした恋人・長谷川 (若葉竜也) にプロポーズされた翌日に、姿を消す。
長谷川は失踪届を出すが、警察の後藤に川辺市子という女性は存在しないと告げられる。
困惑した長谷川は後藤と、彼女の幼なじみや同級生、同僚から証言を集め市子の人生を辿っていく。



突然失踪した市子の人生。
現在と過去の話しが交互しますが、多すぎます。スクリーン右下に表示される「年月」を追いかけないと、混乱します。過去に戻るのはよいのですが、時系列が前後逆転するのは、脚本の失敗です。


市子は無戸籍児:離婚が成立してから300日以内に妊娠・出産した子供は民法第772条により、前の夫の子供と推定されるのですが、なんらかの事情で、前夫を法律上の父親とさせたくないため戸籍上の届けを出さぬままに育てられる子ども。



難病・筋ジストロフィーを抱えた妹 (月子) と、情緒不安定な母親、母親の男 (市子と肉体関係有り) ……そして貧困です。
しかし、市子の真意が映画として伝わらないのです。虚ろなあきらめ表情では、目的も決意も、わかりません。
苦境に翻弄される女の話しが作りたかったのでしたら、違うと思います。



杉咲花、主人公の市子。
体当たりの大熱演なんですが、市子の行動原理に共感できなかったので、微妙です。
冒頭のプロポーズされた時の、ほぼスッピンで涙する顔が、すごーく美しかった。
高校時代のハードなべろキス・シーンがあり、ドキッとしましたが、その後の露出はありません。
童顔で小柄な体型なので、高校生役に違和感ありません。逆に、小学生の子役が、杉咲花と全く似ていないので違和感あります。これって、演出ミスです。



若葉竜也、市子の恋人・長谷川。
情けないぐらい普通の男で、身につまされます。イイ演技です。
戸惑いながら、市子の過去を調べる。決して、騒がず、人と争わない。共感できました。
あまり恵まれた人生ではなさそうなのですが、彼のバックボーンの説明が不足です。



中村ゆり、市子の母親・川辺なつみ。
若すぎます、母親には見えません。自堕落、貧困が似合いませんので、しっくりきません。美人すぎるのかな?



森永悠希、高校時代から現在も関係のある・北秀和。
市子への一方通行的な思い、犯罪に加担してまで市子を守ろうとする行動…変な言い方ですが、イケメンでないので納得できました。m(__)m



倉悠貴、高校時代の恋人田中宗介。
何か途中でフェードアウトしちゃいました。「OUT」で主役を演じていた役者さんですよね。もったいない。



中田青渚、高校時代の友人・吉田キキ。
出番少ないですが、印象に残る瞳力です。これからもっともっと売れてください。



市子失踪からの現在の話と、市子の過去の苦しい話。
過去の話に比重が多すぎます。
観ていて、つらいし、市子の何を正当化したいのでしょうか。



後半からラスト、エピソード詰め込みすぎて長いです。市子と長谷川の出会いを、最後に持って来られても、困ります。


あいまいな結末なので、市子の未来が見えないのです。
なぜ、黒い服を着ているのかな?