【85点】監督:原田眞人

安藤サクラの姉と山田涼介の弟、ワルのバディが疾走するクライム・サスペンスです。
面白いッ!


原作:黒川博行『勁草』、小説。未読。

大阪で特殊詐欺で生計をたててる、橋岡ネリ (安藤サクラ) と弟の矢代ジョー (山田涼介)。
ある日、行き違いから詐欺グループのリーダ格・高城 (生瀬勝久) を刺殺してしまい、二人は億を超えるほどの大金を、手にしてしまう。
二人に地元の悪組織と東京の巨大組織が迫る一方、大阪府警の特殊詐欺合同特別捜査班も動き始める。



冒頭の詐欺グループの金の受け渡し攻防戦、いきなりのトップギアでの緊迫感。
詐欺グループの役割、警察との距離感、わかりやすく人間関係を説明してくれます。
原田眞人監督の力量は、さすがです。
前半少しだけセリフが聞きづらい部分がありましたか、大阪弁に慣れていないからかな?
大阪西成区のドヤ街が舞台?ヤバイ雰囲気がよく出てました。(実際に行ったことはありませんが…)
月曜日になると巫女姿で西成の町を駆けまわる、頭のネジが緩んだ若い女。(ラストでドッキリ…)



安藤サクラ、橋岡ネリ。詐欺グループの三塁コーチ。
スタイリッシュでシャープな無駄のない動きが、かっこいい。
段取りよく、頭脳明晰、目付き、顔つき、セリフ回し、演技上手すぎます。
ワルが似合うのです。こういうタイプ、なかなかいませんよ。(褒めてます。)
ひっかかるのは、東京時代・巨大組織のボスの性奴隷だったという設定で、ブランコに乗る回想シーン。不思議ちゃんになっていましたが、コレ何か違うよな。(脚本・演出の問題です。)
主演女優賞にノミネートします。



山田涼介、矢代ジョー。悪いことを平気で行える感覚を持った、サイコパスな弟。
飛びぬけた美男なのに、危険な男を好演。
原田眞人監督との前作「燃えよ剣」(2021年) では、病に侵された沖田総司を「静」で演じていましたが、本作ではヤンチャな「動」です。
助演男優賞にノミネートします。



生瀬勝久、高城。詐欺グループのリーダ格で、ネリに指示を飛ばす名簿屋。
「この仕事には先発完投型のピッチャーはいらんのや。みんな役割を分担しとる」



宇崎竜童、曼荼羅。認知症気味のプータローだが、かつての高城の金庫番。
後半、グイグイと男を見せて、姉弟を助けます。ラストの死に様も御立派です。



ネリとジョー、父親違いの姉弟関係が乾いた関係であり、離れられない関係だという、位置感覚が上手い。
この関係があるので、ネリは高城を刺殺し、ジョーを助けたのね。



「BAD LANDS」というタイトルは、二人が根城にするプールバーの店名です。(実在するの?)



(以下ネタバレ)



奪い取った3億円は、どうやって銀行口座から引き出すのか?
→正気に戻った曼荼羅のおかげで、現金化に成功。地元の組織の野郎ども、ちょっと弱くない?



東京の巨大組織のボスからの追手を、どうケリつけるのか?
→単身でジョーが乗り込み、見事一発で射殺する。その後、警官隊に射殺される。(このシーンの山田涼介、マジでカッコいい。)



警察から、ネリとジョーは逃げ切れるのか?
→月曜日になると出現する巫女に化けて、ネリが脱出疾走するシーンでストップ・モーションし、エンドマーク。(そうか、こう来たか。)



少々強引な流れですが、原田眞人監督のパワフルでかつスピーディーな演出力で突破します。
監督賞、決定ですね。

あ、カメオ的に岡田准一が出ていましたね。(原田眞人つながりで、OKです。)