『想い出づくり。』
TBSドラマ。1981年9月〜12月、全14話。
脚本:山田太一
演出:鴨下信一、井上靖央、豊原隆太郎
出演:古手川祐子、森昌子、田中裕子、柴田恭兵、加藤健一、田中美佐子、児玉清、前田武彦、坂本スミ子、佐藤慶


いきなりですが、
裏番組 (フジテレビ) は、脚本・倉本聰の「北の国から」。
ビデオが世間に出始めた時代で、私はビデオを持ってなかったので、迷いに迷いましたが、「想い出づくり」を選択しました。



結婚適齢期(24歳)を迎えた3人の女性が「想い出」を探し奮闘する物語。
古手川祐子、森昌子、田中裕子の、三人三様の恋愛観・人生観が反発し共鳴していく流れが見事です。
古手川祐子 (久美子)、凛とした美しさ。
森昌子 (のぶ代)、ホッとする美しさ。
田中裕子 (香織)、ドキドキする美しさ。



3人の父親、児玉清前田武彦佐藤慶。3人とも愛すべき昭和の頑固おやじなのです。(佐藤慶の東北弁、シビレます。)

柴田恭兵、シャープな顔立ち、俊敏な動き…カッコいいし、モテるよな。


加藤健一、前半の虚勢と、後半の情けないほどの落ち込み。これまた昭和の男です。

音楽:ジョルジュ・ザンフィル、パンフルート (木管楽器) の音色とメロディが心に響きます。



考えさせられる作品です。
ときめく、
憧れる、
不安になる、
真面目にならなければと思う、
女性を好きになりたいと思う、
親ときちんと向かい合わなければと思う、
仕事ちゃんとしなければと思う、
………20歳の私には、グサグサグサと刺さりました。



友だち同士の関係や恋愛問題が主軸ですが、
親子関係の話に心が揺れました。



第1話:女ともだちのスタート。
第2話:やっつけたい、あいつ。
第3話:涙も落ちて来た。
第4話:両手を空にさしのべて。
第5話:何処へ羽ばたく。
第6話:べつの姿が見えてくる。
第7話:夜の道ではなく−。
第8話:時よ、急がないで。
第9話:小さな夢が消えていく。
第10話:はじめての夜。
第11話:まわりは急ぎ足。
第12話:戦いの日。
第13話:宴のあと。
第14話:晴れた日が来る。



最終回、連続ドラマのスピンオフ的なエピソードが衝撃的に面白いのです。
3人のうち、一人彼氏いない香織=田中裕子。
ホテルで乱暴されそうになり、暴漢をやっつけ、その場で見ていた男にビックリ。
俳優の「根津甚八」にそっくりなのです。(当時、根津甚八はカッコいい男の代名詞。)
「本当は根津甚八さんなんでしょ?」と香織は疑いながら、デートします。
実は男は青山さんという飛行機パイロットの教官で、根津甚八ではありません。
そして、飛行機に乗せてもらい、そのままゴールイン (結婚) します。
連続ドラマでは、少しつらい役回りだっただけに、田中裕子さんの表情が、とんでもなく嬉しそうで、死ぬほどカワイイのです。


『想い出づくり。』廉価版でのDVD発売を強く希望します!

★唐突ですが、
山田太一VS倉本聰、脚本作品ベスト5


【山田太一 (89歳)】
1位:「想い出づくり。」(1981年、TBS) ……古手川祐子、森昌子、田中裕子

2位:「早春スケッチブック」(1983年、フジテレビ) ……岩下志麻、山崎努、河原崎長一郎

3位:「ふぞろいの林檎たち」(1983年、TBS) ……中井貴一、時任三郎、柳沢慎吾

4位:「男たちの旅路」(1976年〜1982年、NHK) ……鶴田浩二、水谷豊、桃井かおり

5位:「岸辺のアルバム」(1977年、TBS) ……八千草薫、杉浦直樹、竹脇無我



【倉本聰 (88歳)】
1位:「浮浪雲」(1978年、テレビ朝日) ……渡哲也、桃井かおり

2位:「前略おふくろ様」(1975年〜1976年、日本テレビ) ……萩原健一、梅宮辰夫、室田日出男、川谷拓三

3位:「たとえば、愛」(1979年、TBS) ……大原麗子、原田芳雄、津川雅彦

4位:「大都会 闘いの日々」(1976年、TBS) ……渡哲也、石原裕次郎、仁科明子

5位:「北の国から」(1981年〜2002年、フジテレビ) ……田中邦衛、吉岡秀隆、中嶋朋子

まさに、同時期同世代の好敵手ですね。
ご自愛ください。