【90点】監督:山岸聖太 

面白いッ!
舞台劇の映画化、しかも戯曲の根本宗子が脚本担当ということで期待満々。
そうか、この手があったか!のどんでん返し。


原作:根本宗子、戯曲。未鑑賞。

デザイナーの真知子 (前田敦子)、ショップ店員の美和 (伊藤万理華)、風俗嬢の七瀬 (黒川芽以)、元子役の鈴 (趣里)は、問題ばかりの男と付き合っていた。
しかし、4人はそれなりに幸せな生活をしていた。
そんなある日、彼女らに同時に別れの危機が訪れる。そして、彼らの本音と過去の秘密が明らかになる。


4組のカップルの元カレ (元カノ) は同じ4人という設定が、あり得ないけどあり得る脚本になっていて見事な出来映えです。
・デザイナーの前田敦子と、菊池風磨 (千葉雄大)
・ショップ店員の伊藤万理華と、オカモトレイジ (菊池風磨)
・風俗嬢の黒川芽以と、三浦貴大 (オカモトレイジ)
・元子役の趣里と、千葉雄大 (三浦貴大)
4組の別設定で、会話を連続させてつなげる脚本力、それを映像で見せる (魅せる) 監督力、ともにアッパレです。

しかし、本当にクズなダメ男たちです。
脚本の根本宗子さん、こんな男としか出会ってこなかったのかな?m(__)m


前田敦子、普通の女子ですが男前です。
後半の怒りの大爆発、これほどの啖呵 (たんか) は、その辺のやくざ映画より威力あります。しかも正論、働く社会人の鑑です。


伊藤万理華、大甘のギャル娘。
前半のべたべたバカップルから、元カレとの回想でのふてくされ顔、別人です。怖い…


黒川芽以、一途な風俗嬢。
ちょっと損な役回りですが、美人度はダントツ。
ラップの塩むすび食べてるシーン、惚れましたよ。


趣里、気づかいして、尽くして、終始泣きの演技でした。
泣きながらの涙の逆襲、男はあたふたするしかありません。
2023年後半のNHK朝ドラの主役が決まったようで、本当におめでとうございます。


菊池風磨オカモトレイジ三浦貴大千葉雄大…この4人、偉いです!
だって、本当にクズ男なんだもん、どうしようもないダメ男です。(素かな?)
演じたくないでしょ、特に菊池風磨ナンバーワンのダメ男です。(ある意味助演男優賞か?)

 
(以下ネタバレ)

 


「泣いてないで早く出ていってよ!」
4人の女子たちに、追い出されるダメ男たち。
スカッと一件落着か?エンドマークか?

ここから急展開します。
4人の女子が映画のセットを解体して集結し、男との別れを悔やむ。(え?何これ?)
結論は、重い米を買ったときに男がいたら助かるから、別れるのを止める。(笑)
そ、そして、念力で?時間を戻すのです。
(ここからはもう、映画ではなくて演劇の世界。)
「泣いてないで早く出ていってよ!」まで時間が戻って、ダメ男たちも改心して、4人のカップルは元のサヤの収まります。
この怒涛のラスト、ノンストップの力技で押し切ります。
脚本と演出の合体=演劇と映画の合体ですね。アッパレ!


2通りの結末を見せてもらいました。
斬新で新鮮で楽しいカラクリでした。

それにしても前田敦子、恐るべし…