【75点】監督:タナダユキ

底抜けにパワフルな永野芽郁=シイちゃんと、
どうしようもなくマイナスになってしまう奈緒=マリコ。
二人の悲しみと怒りが、心に刺さります。



原作:平庫ワカ、漫画。未読。

退屈なOL生活を送るシイノトモヨ (永野芽郁) は、ある日、テレビニュースで親友のイカガワマリコ (奈緒) の死を知る。
学生の頃から虐待を受けていたマリコに、できることはないかと考えたシイノは、
マリコの実家から遺骨を奪取すると、マリコの魂を救うための旅に出るのだった。



永野芽郁、シイノトモヨ=シイちゃん。
26歳、未成年の頃からタバコを吸っている、ブラック企業に勤めるやさぐれOL。
ペラペラの黒のパンツスーツ姿が、ドンピシャで似合います。
飯を食う、酒を飲む、タバコを吸う、走る、飛ぶ、闘う、泣く、わめく……リミッターを振り切る演技、主演女優賞にノミネートします。



奈緒、マリコ。
26歳、父親からの虐待や彼氏の暴力から、自室ベランダから飛び降り自殺をする。
不安定で危うい感じ、精神 (神経) が破壊され、妖気ただよう狂気…凄く、怖かったです。助演女優賞にノミネートします。



窪田正孝、「まりがおか岬」の近くに住む、名もなき釣り人。
たぶん原作通りなんだろうけど、この映画に必要なのかな?
この人も、少し前挫折して死にかけたようなのですが、刺さりませんでした。



学生時代の過去、
大人になってからの過去、
そしてマリコが死んでからの現在、
絶妙にクロスします。

子役の二人、恐ろしいほどい上手いです。



クズでゲスな父親や彼氏から、自分の弱さを押し付けられ、やられ損のまま亡くなったマリコ。
マリコとシイノは親友同士で、学生生活が終わっても、人生のことある節目で再会してきた。
不安定だったマリコはいつもシイノを頼っていたが、死の瞬間、マリコはシイノに連絡のひとつも寄こさなかった。
親友が死んだことへの悲しみと、自分に相談もなく逝ったマリコへの怒りで満ちていくシイノ。



彼女はマリコの遺骨を父親から強奪し、マリコの行きたかった海へと旅立ち、お互いの魂を救済する。(遺骨の強奪シーン、永野芽郁にアッパレ!)



ロードムービーなのです。日本の田舎の漁村は寂しいですね。
というか、外国映画のロードムービーと景色 (空の色、建物の色、店の雰囲気…) が違うのです。なぜかな?


(以下ネタバレ)



「シイちゃんから生まれたかった」このマリコの言葉に戦慄しました



シイノは再起動し、再生して生きていきます。
帰りの電車で、駅弁を食うスピードが復活を感じます。上手い (旨い)。
満足している会社じゃないけど、働いて飯を食っていく。この感じ、好きです。

ラスト、
マリコからの手紙…内容は不明ですが、ハッピーエンドの表情で本当によかった。

ノンストップの85分、遊び心一切なしの映画です。良かった。