【70点】2022年3月、西村雄一郎、ヒカルランド。
「黒澤映画本」
日本映画の巨匠、世界のクロサワ、山のような黒澤文献。
新しい観点からの新刊本。
面白い部分と退屈な部分 (若干の上から解釈) が、明確に分かれますが、一気に読めます。つまり面白い…(*_*)
第1部「七人の侍」…君はどの上司に付いて戦うか?
「日本映画は要するにお茶漬けサラサラでしょう?もっとたっぷりご馳走を食べさせて、お客にこれで堪能したと言わせるような写真を作ろう」
「うなぎ丼の上にカツレツ乗っけて、その上にハンバーガーなんか乗っけて、さらにカレーをぶっかけるみたいなご馳走」
…求められるリーダー論に連結しようと頑張りますが、読者が求めているのは「黒澤明の新エピソード」です。(*_*)
…日本映画史上ナンバーワン作品でありながら、絶対に日本映画界でリメイク不可能な作品。あらためて認識しました。(*_*)
第2部「羅生門」…君は誰の言い分を信じるか?
…日本公開時の評論家「わからねこと」「さっぱり分からない映画」「人間不信」…キネマ旬報ベストテン5位とイマイチの国内評価。
しかし、ベネチア国際映画祭グランプリ!
盟友・早坂文雄から黒澤明への祝電。「重ね重ねの栄誉、心からお祝いします。おめでとう。日本評論家ざまあみやがれ」\(^o^)/
第3部「生きる」…君は時間を無駄にしてはいないか?
…黒澤明と脚本家・小国英雄、作曲家・早坂文雄のエピソード (確執?) 、そのストイックさにハラハラします。
…黒澤明=熊井啓 (監督) の因縁 (というか秘めたる尊敬) 物語、泣きました。(T_T)
…2007年のテレビ版のエピソード、まるごといりません。
第4部「蜘蛛巣城」「影武者」「乱」…君は能を知っているか?
…「能」の素晴らしさは重々わかるのですが、この章は退屈です。m(__)m
…但し、定番ですが、
ラストシーンのホンモノの弓矢からの恐怖。三船敏郎の「黒澤のバカヤロー!」エピソード…好きです。(^_^)
第5部「用心棒」「椿三十郎」…君は記憶をどう生かすか?
…三十郎ショック、4つの殺陣技法、斬殺音の創造…たまらない面白さです。
…佐藤勝「用心棒」の、ズンチャン・ズンチャンのリズムの意味、なるほどね。(^_^)
…2007年の森田芳光版の「椿三十郎」エピソード、まるごといりません。
第6部「天国と地獄」「野良犬」…君はサスペンス映画の面白さを知っているか?
…戸倉警部 (仲代達矢) 批判/新人・山崎努の存在感、読んでて楽しいな~。(^o^)
…2007年のテレビ版のエピソード、まるごといりません。
付録:黒澤映画キーワード辞典
「雨」「馬」「セット」「撮影術」「シネスコ・サイズ」「対位法」「斬殺音」「絵コンテ」「幻の映像」「刑事もの」「ヒューマニズム」「社会へのメッセージ」
…視点が新鮮 (新しくて) 、面白いッ!
(読み応え充分、一番かも?)
やっぱり、
黒澤明=世界のクロサワ、好きだな~。