旧住宅都市整備公団の分譲住宅(団地)の

一室を仲介させて頂いた時の心温まる

私が生涯忘れられないお話です。

 

東京に住まわれるご子息と同居するため、

昭和58年の分譲当初から住み慣れた

ご自宅の査定を依頼されました。

数年前に奥様に先立たれ、

全てお一人で食事も洗濯も掃除もされて

いるお年を召されているお客様からの相談。

 

査定でお部屋の中を拝見させて頂くと

リフォームで素敵なシステムキッチンが

設置されています。

その事についてお客様にお話を伺うと

原因不明の体調不良で寝込みがちの

奥様に少しでも楽しく調理が出来るよう

奥様の好みの綺麗な色彩の面材を

病床の奥様に選んでもらい、一日も早い

病気の回復を祈られていたそうです。

 

ある日、珍しく体調が良く天気も良いので

奥様はベットから起き上がり、洗濯物を

干すためベランダに立たれました。

しかしその瞬間、足元から崩れるように

倒れられ、病院に搬送されお亡くなりに

 

検査で全身癌に侵されていた事が

その時になって判明されたそうです。

 

その後、ご子息の自宅完成後に、

同居される事になったそうですが、

奥様が料理をすることを楽しみに

していたシステムキッチンだけは、

傷や汚れを付けることなく、

家を買ってくれた人に、綺麗な状態で

引き渡したいと、お湯を沸かす以外、

使用されず、大切にされていました。

 

ある時、東京から環境の良い湘南に

移り住むため、家を探しに来られた

お客様に、このお部屋を内見して

頂きました。

そして契約!住宅ローンの審査も

承認されいよいよお引渡しの日が

近づいてきたある日、

買主の奥様から突然連絡が!

「売主様はいつお引越しですか?

まだ、ご仏壇はご子息の家へ

運ばれてないですか??」

「今週末らしいですよ!」

 

翌日、買主の奥様は小さなお子様と

綺麗な花を持って、売主様宅へ来られ

ました。

二人でご位牌に手を合わせられ

「奥さん、私は奥さんが選ばれた

システムキッチンで美味しい料理を作り

主人と子供の健康を守ります。

素敵なシステムキッチンを大切に

使わせて頂きます。有難う御座います。」

 

ご家族の絆を次のご家族の絆に

引き継がれる瞬間に立ち会う事ができ

ました。

 

きっと買主ご夫妻は、仮に売主の奥様が

お一人でこの世をさられたとしても、

同じ様な感謝の言葉を故人に伝えて

いたと確信します。

 

会社名  株式会社吉祥本舗 担当:周藤(すとう)
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