「帰省したくない」お盆・年末の妻の憂鬱と本音 | 世界と日本の真実

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「帰省したくない」お盆の妻の憂鬱と本音


 → http://mainichi.jp/premier/business/articles/20160812/biz/00m/010/001000c


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育児サバイバル

「夫の実家に帰省したくない」お盆の妻の憂鬱と本音

2016年8月12日 藤田結子 / 明治大商学部准教授




お盆休みをどう過ごされていますか。自分の実家や配偶者の実家に帰省する人も多いでしょう。この時期、多くの女性が静かにため息を漏らしています。




帰省したくない人が4割も


 観光庁が実施した「ピーク時期の観光客の動向把握に関する調査」(2010年)では、回答者の約4割が「できれば帰省したくない」と答えていました。もっとも多かった理由は「道路が混雑しているから」ですが、▽自分の親や親戚に会うのがいやだから29%▽配偶者の親や親戚に会うのがいやだから25.9%−−が続きました。

 女性が30代で独身なら、実家に帰省すると、自分の親に「まだ結婚しないのか」「早く孫の顔がみたい」とよく言われます。しだいに実家から足が遠のきます。

 結婚したら、夫の実家への帰省というイベントが待っています。毎年楽しみにしている人もいますが、お盆休みが憂鬱な人もいるようです。

北陸新幹線から降車した帰省客らでにぎわうJR金沢駅=JR金沢駅で2016年8月11日
北陸新幹線から降車した帰省客らでにぎわうJR金沢駅=JR金沢駅で2016年8月11日





帰省ラッシュの新幹線で早くもぐったり

 夫婦ともに関西地方出身で、東京に住む会社員の陽子さん(30代仮名)は、お盆と暮れに、自分の実家と夫の実家に交互に帰省しています。今年のお盆は夫の実家へ行く予定ですが、今から気が重いそうです。

 まず、4歳と0歳の子供を連れて、帰省ラッシュで混み合う新幹線に3時間以上乗らなければいけません。最近では、ラッシュ時の「ベビーカー論争」や、飛行機内で泣く赤ちゃんにクレームをつけた有名人の話も耳にします。子連れはそれだけでプレッシャーです。



 満員の東海道新幹線車内には、折りたたんだベビーカーを置く場所も少なく、4歳の娘はひっきりなしに話し続けるので、大声を出さないように、「静かにね」「しーっ」と言い続けます。

 赤ちゃんが泣くと、あやすためにオムツや哺乳瓶の入ったバッグをかかえてデッキに急ぎます。しかしデッキにも人があふれています。ああ、どうすれば……?

 なのに、夫は雑誌を読んだり、スマホの画面を見続けたり、自分から積極的に動きません。たまりかねた陽子さんが、「もうちょっと面倒みてよ」と頼むと、「俺、きのう仕事が遅かったからしんどくて……」と言うのです。



 「ちょっと待って。私だって仕事と育児で毎日働き詰めなんだからね」と心の中で反論しながら、実家にたどり着く前にすでにぐったりです。


「働く嫁」が気に食わない義母の態度

 横浜市の教師、恵美さん(40代仮名)は、毎年2人の子供を連れて九州の夫の実家に帰省していましたが、ある年きっぱりやめました。



 夫の実家は、山や田畑に囲まれた北部九州の田舎にあります。まだ古い慣習が残っている地域で、恵美さんは帰省中は「長男の嫁」として扱われます。滞在中には、同じ県内に住む義姉とその家族もやってきます。



 義母と義姉は仲が良く、毎日2人が中心になって夕食を作ります。恵美さんも手伝いますが、2人は料理の仕方や味付けにそれとなくダメを出します。



お盆の帰省ラッシュで渋滞する東名高速海老名SA付近の下り線(右)=神奈川県海老名市で2016年8月11日
お盆の帰省ラッシュで渋滞する東名高速海老名SA付近の下り線(右)=神奈川県海老名市で2016年8月11日



 恵美さんが2人に気を遣い、ずっと「すいません」「ありがとうございます」と言い続けている横で、夫はゴロゴロしているだけ。早く時間が過ぎないかと時計ばかり見てしまいます。



 昔働いていたことがある義母は、恵美さんが仕事を続けていることが不満な様子。子供のしつけや家事の仕方について、専業主婦である義姉と何かと比べ、「恵美さんは仕事が忙しいからねえ」とチクチク嫌味を言います。

 恵美さんが義母の態度を訴えても、夫は「うんうん」と聞くだけで何もしてくれません。恵美さんは、あるとき限界に達し、夫の実家に二度と帰省しなくなりました。以後、夫が子供を連れて里帰りしていますが、2人の間で恵美さんの帰省の話はタブーになっています。






お盆休みは仕事より疲れることもある

 働く母親たちは、日々仕事と育児に追われて疲労困憊(こんぱい)しています。せっかくの夏休みぐらい、少しは体と心を休めたいと思っています。

 夫が協力的だったり、夫の実家と関係がうまくいっていたりする人は、帰省もそれなりに楽しめるでしょう。しかし、家族はストレスの原因にもなるため、休み中に帰省することで余計に疲れてしまう人もいます。

 もし働く妻と子供を連れて自分の実家に帰省するなら、夫は、自分が休む機会だとは思わない方がいいでしょう。会社にいるのと同じ程度には、子供の世話や家族のコミュニケーションに気を配らないといけません。



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