添い寝だけでいいんだっけ?
と聞いてきた登坂さんに
「だいじょうぶですよ」
と、答えた。
お客様と合流し入室しましたの
合図である「お疲れ様でした」の
ラインスタンプを橘さん宛に押す。
私を招き入れ、ドアを閉めた登坂さんの後ろを
ついて行くと、フワッと甘い香りに包まれた。
後ろを振り返り、登坂さんが
「で、添い寝だけでも平気?」
再度、聞いてきた。
「平気です。」
登坂「そっ、良かった。
・
じゃ、こっち来て。
でも、そのままじゃ、
あれじゃね?
しわ着いちゃうよ。
脱いじゃえば」
コートを持ち、ツーピース姿の
私を見ている。
「ちょっと、待って。
・
これ、着る??」
部屋のクローゼットから、
バスローブを出してきた。
「いいんですか?」
「オレ着ないから、
どうぞ。
いつもTシャツとスウェットなんだよ。」
白いTシャツと黒のスウェットに
羽織っていたグレーのガウンを脱ぎながら
ベッドに膝から乗った。
エリナ「じゃ、着替えてきます」
登坂「ん」
洗面所で着替え、クローゼットに
自分の服をかけた。
ベッドに登坂さんは横たわっている。
静かに近づくと、上掛けをふっと上げ
「こっち来て」
と、目を開ける。
お客さんとの添い寝なんて、
初めてではないけれど、
ドキドキした。
この甘い香りの中
しかも居心地良い声
真夜中を過ぎ、もうすぐ
朝になろうとしているこの時間に
頭の中が酔っているような
そんな曖昧な空間。
私も知らない間に、眠りについていた。