イメージ 1

超お買得製品 賞賛しただけではすまない凄さがある Victor SX-V7
スピーカーユニットは 料理でいえば材料で エンクロージュア ネットワークと組み合わせ システムアップしなければならない と井上卓也さんは語ります

イメージ 4


新製品よりも旧製品のほうが 豊かな時代背景を反映して 充分に時間をかけて 細部までこだわりが必要な部分に物量を投入して作られた製品が多く なおかつ歳月が経過しても色あせて感じられないというオーディオコンポーネントは 何といってもスピーカーシステムにつきる

イメージ 5

正統派のスタジオモニターとして現在に残るJBL4425は 片チャンネルで15万円であることが異例に魅力的だが この価格帯のは内外ともに 非常に個性的かつ驚異的低価格なモデルがあるようだ 海外製品では インフィニティ・カッパー8・2iの30㎝ウーファーをベースにした4ウェイ構成のフロアー型があり 国内製品では ビクターの昭和初期からの伝統を象徴するHMVシリーズの第2製品 SX-V7があげられる
SX-V7は従来にない構想で開発された 超高級機ながら異例の低価格を設定した非常にユニークなモデルである

イメージ 6

SX-V7は 先に発売されているSX-V1と同様に アコースティック録音機全盛時代の超高級機の筐体構造を調査したところ それらのモデルは マホガニー材を主に使用し これに 真鍮もしくは純金などが組み合わされていたことに注目し これを現在のスピーカーシステムのエンクロージュアに導入しようとする構想に注目したい
ただでさえ天然材料の資源が枯渇している現状下で ムクでエンクロージュア用として使えるマホガニー材は たとえあったとしても非常に高価格であり とてもスピーカーシステムに使うことは不可能 というのが常識であるが これをオーディオ以外の業種に依存して現実に製品化を達成したのが SX-V7のエンクロージュアなのである

イメージ 7

もともと オーディオ用として求めると非常に高価格になるのが この業種の特徴であるようで スピーカーシステムのエンクロージュア スタンドなどがその好例である
人件費の問題等もあるが 国内で製造されるエンクロージュア スタンド システムラックと比較して 東南アジア製の同等品が いかに安価であるかは 少し注意して同等製品を比較すれば自明の理である

イメージ 2

それにしても 小型なSX-V1では納得できるが フロアー型システムのSX-V7では ムク材のマホガニーを使ってのエンクロージュアづくりは 至難の技と考えられるが いずれにせよ現実のシステムとして発売された決定的な事実を見れば 納得せざるを得ないようである SX-V7は このエンクロージュアだけでも 設定された価格に充分に見合うものであり ビクターが エンクロージュアにかけた並々ならぬ意欲は たんに賞賛しただけではすまない凄さがある

イメージ 3

スピーカーシステムにとっては とかく注目されがちなユニットは 料理でいえば材料であり これをエンクロージュアに収め ネットワークと組み合わせ デザイン 仕上げと設定した音質 音色とマッチさせてシステムアップしなければならない その結果がスピーカーシステムなのである 短絡的に考えれば 弦楽器で弦と弓をスピーカーユニットとすれば 胴がエンクロージュアに相当し どちらが重要かは簡単には判断できぬ 複雑な相互関係があるようだ

SX-V7は 低域に独クルトミューラー製コーン型ウーファー 中域と高域に絹糸材料のソフトドーム型ユニットを組合わせた3ウェイ構成で とくに中域は とかく大口径化したくなる欲求を抑えて 反応の速さ 活き活きとした表現力の豊かさを狙って 最適口径に抑えた点に注目したい また 低域用ウーファーのfoとエンクロージュアの共振とをたくみにスタガーして ダンプドバスレフ的動作にしたチュ-ニングも このシステムに独自の音とキャラクターを持たせた点で見逃せない 平均的なファンには検知外の 重要なスピーカーのチューニング技術といえるだろう とにかくマホガニー材には その供給に限度があるだけに早く購入しないといつなくなるかわからない という 一種独特の焦燥感に悩まさられる製品だ


SX-V7が発売された当時 昔のオーディオ誌に井上卓也さんの記事があったので ブログに載せてみました