テレビ放送のクラシック番組を よく観ている
 
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リスニングルーム テレビ画面は 「薔薇の騎士」 です
 
先日 ブレゲンツ音楽祭のオペラ「パサジェルカ」 の放送を観た 
2010年7月オーストリー・ブレゲンツ祝祭劇場公演である
舞台セット演出も音楽も素晴らしく心に深く響いた
 
音楽はいわゆる東欧・ロシア音楽の響きといった感じなのだが 
現代的で洗練され透き通った渋く光り輝く音で劇場のオペラ空間に引き込まれてしまった
 
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オペラ「パサジェルカ」は世界初演であるという
「アウシュビッツ強制収容所」の元女性看守が主人公であり強制収容所を舞台にしている
モーツァルトもヴェルディも殺人場面などをオペラ舞台に登場させて作曲している
しかし「アウシュビッツ強制収容所」をテーマにしたオペラとは?観る前から気が重く滅入っていて 
多分すぐにスイッチを切ってしまうだろうと思いながら観たところが 
2時間45分の全曲の間釘付けになり舞台と音楽のオペラ世界に完全に引き込まれて鑑賞していた
退屈な時間を感じる隙は まったくなかった
 
「この作品に感傷的な自己憐憫がない 音楽という言葉でアウシュビッツを語りかける
悲劇的にではなく 明確に表現している」 と 演出家は述べている
 
 
 
 
作曲家のヴァーインベルク(1919-1996)
ヨーロッパでもほとんど知られていないという 私の持っている音楽辞典にも載っていない
ポーランドのユダヤ人の家庭に生まれ 音楽的環境に育ちピアノを学び 映画音楽の作曲で収入を得て 作曲に専念していたが 
ナチドイツのポーランド侵攻でソヴィエトへ逃げる 家族の両親・妹は強制収容所で殺される
ショスタコヴィッチに注目されモスクワで仕事仲間となる 
シオニズム運動に係わったとして逮捕されスターリン死亡まで獄中生活を送る
 
いつもショスタコヴィチの影に隠れた存在だった
音楽仲間の助力で作曲活動を続け オペラ 交響曲 映画など 多作で150ほどの作品がある
オペラ「パサジェルカ」は ソヴィエトでは上映禁止とされていた
指揮者メドベージェフと親交を深める  
作品は西欧でもほとんど演奏されていないという
 
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主人公役の ミシェル・ブリートは 語る
簡単に演じられるような内容ではないのです 全員が誠実でないとだめなのです
涙も流しました それはこの作品がもたらす涙であり心に芽生えたものによる涙であり暗譜作業のストレスからくる涙でもある と
 
 ブリートは 2時間を越す長時間をほとんど独りで歌い演じ続ける  
喜びの感情や愛情を表現する場面はなく ナチ親衛隊員で看守だから厳しい表情ばかりで歌う
よくぞ苦しい役を演じみごとに歌いきったと 喝采を贈りたい
 
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原作 収容所を生き延びた女性ポスミシュの小説「パサジェルカ」 
ポスミシュはこのオペラ世界初演に立ち会っている86歳
 
台本 メドベージェフ ウィーン交響楽団の主席指揮者でもあった 初演に参加することができなかった 故人 
 
演出 デーブィッド・パウントニーは語る
偶然この作品に出合い 世に出すべきと感じた 聴けば聴くほど知れば知るほど感動します
このオペラだけでなく彼の全てを人々に紹介すべきだ 交響曲 室内楽曲を 広く世に知らせなくてはなりません と
歌手 どなたも素晴らしい 最高です 
合唱 プラハ・フィル合唱団 素晴らしいです
管弦楽 ウィーン交響楽団 弦も管も響きが実に素晴らしい
指揮 テオドール・クレンツィス 若いギリシャ人 東欧ロシア音楽の微妙なニュアンスを見事に表現
衣装デザイン MJレッカ 囚人服をフィルター越しにみるようにセヒ゜ア色でデザインしている 
舞台デザイン Jエンゲルス 簡潔な2階建て構造で忌まわしい過去と現在を見事にデザインしている 
 
 
ブレゲンツ音楽祭の世界初演は大成功であったという
世に埋もれたこのような異色の大作を音楽祭で成功させる演出家たちの底力 また それを支持した観客たちには感服します
 
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そしてその5ケ月後には 
私もこうして日本の自宅で公演の追体験をしいてる 
でも日本での視聴率はほとんどカウントできない数値なのだろうと思う
深夜この放送を何人が観るというのか ほんの僅かのオペラファンだけだろう
それでもこうして放送してくれるNHK 有難う頑張ってください
 
素晴らしい放送技術・オーディオ機器のおかげで 世界初演オペラを鑑賞することが出来た 
関係されている方々のご努力にただ感謝するのみです
 
 
このオペラ放送は録音してDVDに残した
 
42型テレビに内蔵されている 音声D/Aコンバーター192kHz/32bitからSV310---SV91B---スペンドールBCⅡ改-suonoなどの機器で再生しました