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"ドソク"とうアダ名の編集者の想い出

かつて"土足"と言うあだ名をつけた編集者がいた。

その編集者が何故"ドソク"と言うアダナが付いたかというと、かつて友人のプロダクションの和室のオフィースに靴を脱がずに、さも当然のように土足のまま入って来たからである。


その為、プロダクションのスタッフは彼女の事を"ドソク"とアダ名したのである。


その編集者は小さな出版社につとめていた。大学を卒業したばかりの新人編集だった。


仮にDさんとしよう。

ある日、Dさんは、屋久島に取材に行ったと言う。
そして、縄文杉を見たのだそうだ。


お土産にと、友人のプロダクションに木の枝を置いていった。


友人は屋久島の土産なので"縄文杉"と思い込んだ。

別の日、プロダクションに遊びに着ていたA出版社の編集者にお土産を見せた。


「ほー屋久島土産ですから、屋久杉ですね、ちょっとお借りしていいですか?」


とその枝を持っていった。


2週間ほどして、A社の編集者から電話が入った。
「えらいことになった、あれ杉じゃなくて"松"みたいです。


「そんな馬鹿な、屋久島に行って"松"の土産はないでしょう」


「でも松なんです」


「そうか、何故Dさんは屋久島に行って"松"の枝を拾って来たんだろう。普通"屋久杉"の枝でしょ」


「イヤー実は偉いことに成っておりまして、夏休みの特集にあの枝を掲載してしまったんです"屋久杉枝"って」


実は都会育ちの面々は松の葉と杉の葉の区別がつかず、文系の校正者の目をもスルーして、印刷されてしまったのです。


その後友人のプロダクションのスタッフと編集者総出で、印刷所の倉庫で屋久杉"屋久島の松"と訂正シールを貼りまくった。


Dさんの土産のセンスに脱帽。そして文系の無知に愕然。


ででも なぜ 屋久島に行ってわざわざ 松の枝 などを土産に持ってきたのだろう。


和部屋の事務所に平然と土足で入ってきた D 編集者の思い出でした。