どこの街にもあった書店。私の生まれた小さな町にも10店以上はあった。

本は知識の泉であり娯楽の一部でもあったのだ。

 

かつて出版業界全体の売り上げが2兆6千億円だったが近年読書離れが進行し、2022年11月現在1兆5700億円に減少してしまったのだ。電子媒体を含む売り上げだが紙媒体だけだと、さらに寂しい状況なのだ。

 

当然、この金額の中で作家編集者出版社書店が細々営んでいる。

 

予兆はあった。携帯電話の普及で、情報を携帯電話でやりとりするくらい時代になった時、通勤電車で本を読む人が減少し始めた。

 

週刊誌も新聞も通勤電車から消えていった。

電子書籍が残るから大丈夫だ、と思ったが、年間売上は減少の一途を辿った。

 

出版社が厳しくなる前に、プロダクションやフリーランスが活躍の場を失っていった。地道に良書を生む文化も絶たれた。

 

僅かに残った出版社も虫の息。書店は町から消え、コンビニがキヨスク程度に本を売る。大きな書店は生き残りをかけて頑張っている。出版業界全体で1兆5700億円では良書を生むのは難しくなる。


(ちなみに運送業界の年間売り上げはは約21兆6千億 )

 

良い本を探すときは当然古書を探すが情報の鮮度となると厳しい。実は古書の市場も厳しく、神田の古書店の店主が嘆いていた。

 

本が読まれる時代はこれからも衰退するのだろうか。

ある出版社の常務が売れる本にしか興味が無い、文化の担い手などと言う気持ちもさらさら無いと言い放った。

 

今出版社で幅をきかせているのはマーケッティング担当で編集者では無い。薄寒い雰囲気だ。

 

若手のマーケティング担当が市場のニーズをはかり、売れ行きを検討する。

 

ああ無情。書く言う私も読書機会が減った。代わって、ネット情報やユーチューブを見ることが増えた。textはかつてより読んでいるのだ。

 

青空文庫文豪の傑作が無料で読める。これでは益々本が売れない。

 

出版業界は細く生きるしか無いのだろうか、時代の無いの波は常に古きものをさらって行く。南無阿弥陀仏。