地球防衛軍 ベルカ公国司令部 -9ページ目

mission72.5 神獣討伐


12月7日 市街地



一方本部では正司がヴァグナにある要求をしていた。


「ヴァグナ!この宇宙生物の弱点は無いか!?脳みそにマスレイT集中砲火も効かなかったぞ!」


「こいつは…!?」


「こいつは何の前触れも無く現れた巨大ソラスだ。」


ヴァグナは巨大ソラスの映像を見て…







「こいつは…ウロボロス。宇宙生物ソラスの…王だ。」


…そう答えた。


「この宇宙生物にはどんな攻撃も効かない。ジェノサイドガン2でもだ。」


「方法は無いのか!?そっちは今仲間一人奴の手の内にあるんだ!」


部屋一帯は沈黙に沈んだ。








「…一つだけ…方法がある。」


ヴァグナは薬品庫からある薬を取り出した。


「…コイツは対ウロボロス様として私独自に開発した毒薬だ。

だが、言わなくても分かるがこの薬は一度も使った事ない。ましては効果があるかどうかも分からない。」


「…構わない!とにかく…コイツを作戦エリアまで持って行く!」


「しかし、誰がこれを…」


「アイツしか居ない!今直ぐ叩き起こして来る!」


正司は急ぎ部屋を跡にした。









ドンドンドン・・・


「開けるぞガルド!」


正司はガルドの部屋を強く開けた。


「お前に出撃命令だ!コイツを持って巨大ソラスが現れた作戦エリアへ行け!」


正司はガルドに命令するが、ガルドは聞き入れなかった。


「悲しみに浸ってる暇は無いぞ!瑠璃華が奴の左手に握られた!救助しようとした霧香も右裏拳喰らって戦闘不能になった!」


ガルドは未だに黙ったままだった。





「おい!お前は何時まで悲しみに浸ってるんだ!お前が行かなきゃ彼女は死ぬんだぞ!」


正司の言葉を耳にしたガルドはこんな事を思ってた。














…いっそ死ねば、悲しみの呪縛から解放される。彼女も彼に会える筈だ…






遂に正司は動じようとしないガルドの胸倉を掴んだ。

「お前が行かなければ彼女は死に、彼女を愛し、彼女の為に死んだ友人からは怨まれる存在になるんだ!お前はそれでも良いのか!?」


さらに正司の発言により、彼は…






















…嫌だ。俺はヴァンドや、アイツに怨まれるなんて…、



























俺は嫌だ





「…お前に頼んだ俺が馬鹿だった。俺が直々に持って行くしか…」


正司は限界まで達し、部屋を後にしようとした。


「待ってくれ司令。俺がコイツを持って行く!」


ガルドは行く事を決心した。


「やっと決心したか…ほら。コイツが巨大ソラスの弱点だ。後入れるとしたら目玉に入れてやれ。薬が一気に脳まで到達して直ぐに倒れるだろう。」


ガルドは薬を受け取り部屋を跡にした。





ガルドは急いで作戦エリアへ向かおうとしたその時だった。


「おい。」


彼を呼び止めたのは整備兵だった。


「作戦エリアへ向かうんだろ?俺のハリアーに乗って行け。」


整備兵はガルドを連れて格納庫へと向かった。









二人は格納庫に着いた。


「遅かったじゃないか。ガルド」


格納庫には別エリアの作戦から帰還した章造が待っていた。


「…こいつは…」


「こいつはのコードネームはAV-8ハリアーだ。」


「あんたが操縦して作戦エリアまで向かうんだ。そしてベイルアウトしてソイツを奴の目玉にぶっ刺すんだ。」


章造がガルドに教えた戦法はハリアーを捨て駒にして射出した後、巨大ソラスの目玉近くまで降下するやり方だった。


「これを…こうするんだ。」

ガルドは整備兵からハリアーの操縦方法の基本を僅かな時間を使って聞いた。


「基本は分かったな?」


「あぁ。バッチリだ。」


「まぁ基本さえ頭に入れとけばどうにかなる。俺はそうした。」


「ありがとよ。整備兵。」


「帰って来たら俺が作ったパフェ食うか?」


「後でな。良し、さっさと行こう。彼女が危ない。」


ガルドは操縦席に、章造は後部座席に搭乗してハリアーを発進させた。











「くっ…この…」


私は巨大ソラスに攻撃を仕掛けたが、全く効果が無かった。

さらに私は敵の大きな左手に握られていた。力を加えられた実感は無い。だが奴の皮が分厚いせいか、私は動くことができない。動かせる実感が伝わらなかった。


私は顔近くまで近づけられ…




【我がコ…殺シたやつハ…おマエか…?】


そんな事を言っていた。






「ふふふ…」


瑠璃華は不敵な笑みを零して…


「そうよ。あんたの子供を殺したのは私よ。血がキレイに飛び散ってったわ。」


【キ…貴様…】


「あら、逆恨みなんてされたらこっちが困るわ。元々あんた達を送り付けたのは奴等なんだから…」












ぎゅう・・・


「ぐっ…ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


巨大ソラスは怒りに満ちたのか、瑠璃華を強く握り締めた。


さらに握り締めは強さを増し・・・


「ぐはぁ……かぁ…」


強く握られた結果、彼女は吐血した。

分厚い皮膚が加えられた巨大ソラスの手の平と瑠璃華の身体は物凄く格差があり・・・



握り潰されても可笑しくない結果だった。


『瑠璃華!応答しろ!瑠璃華!?』


無線からは時也からの呼び掛けが聞こえるが、意識が朦朧としていた彼女には聞き取る事ができなかった。


『正司!巡航ミサイルの発射は待て!瑠璃華が奴の手に掴まれた!』









私は…奴等を許さない…ヴァンドを殺した奴を許さない…





もう死ぬ事なんて分かってる…





こいつを殺さなければ…彼に顔向けができない…





せめてコイツだけ…殺して…


















「…あれは何だ?」


景杜は何か黒い物体を目視した。


「景杜。あれはハリアーだ…って、はぁ!?」


時也はハリアーを見て驚いた。


『千獄寺隊員。これより射出します。』


『了解。俺は瑠璃華の救助に向かう。』


ハリアーからは二名の隊員が射出した。





ガルドはパラシュートを開いたが、章造はパラシュートを開かず直ぐに目標に目掛けて降りて行った。


「よう。インベーダーのペット。今から苦しむ気分は…どうだ!?」


ガルドは対巨大ソラスの薬が入った注射器を左眼に刺した。

薬はソラスの目から入り、液体は徐々に脳まで達して行った。


「よう瑠璃華。今直ぐ助けてやるぜ?」


ガルドが左眼近くまで降下する前、章造は無意味な方法と解って日本刀で左手首を刺した。

だが、章造が装備していた日本刀は一味違う。それは対巨大ソラス用の薬が塗られていた。


「良し!これなら左手の力も緩くなる。」


日本刀は幸い左手首に快心の一撃を喰らわせ、刃は手首の深くまで刺さった。


「緩め!緩め!緩みやがれ!」


薬は巨大ソラスの左手首から手へ、腕へと渡り歩く。


次第に敵の力が衰えて行き、瑠璃華を握っていた左手は力が無くなって行った。


「誰か!下に居るか!?彼女は解放された!受け止めてやれ!」


瑠璃華は巨大ソラスの左手から解放された。

だが、彼女は解放されたことに気付かず、力無く地上へと墜ちて行く。


このまま行けば彼女は転落死して救助は水の泡になる。


「待ってろ瑠璃華!今受け止めてやる!」


時也は瑠璃華を受け止めるべく全力で走った。






「…まだご褒美が物足りないか?なら遠慮なく受け取れ!」


ガルドは何本かの注射器を巨大ソラスの左眼に刺した。


「これで満足かぁ?」


さらに彼は力を加えていたから注射器自体が眼の奥まで入って行った。

彼の心の中は敵を倒すだけで精一杯で、彼の顔には返り血が浴びせられた。










巨大ソラスは既に両目を潰されて失明していた。




「間に合った!ここなら彼女を受け止められるだろう。」


俺は受け止められそうな場所まで到達した。彼女はまだ気付いてない。






俺は見事受け止める事に成功した。


「大丈夫か…瑠璃華!?」


「…時也…ここは…?」


瑠璃華は生きていた。良かった…






私が意識を取り戻すと目の前には時也が居た。


「私…一体…」


「巨大ソラスに握り潰されそうになったんだ。」


巨大ソラス…そうだ。私巨大ソラスに握り潰されそうになったんだ。


「時也…ごめん…私…」


「何も言わなくて良い…」


「違うの…私死のうと思ったの…」


私は泣いた…自分自身がやろうとした事に…


「ところで…巨大ソラスは誰が?」


「ガルドと章造が対巨大ソラスの薬を注入して倒した。」


「え…!?」


「おっ…討伐に手柄を立てたお二人が来たぜ?」


時也が差す方向へと向けた。

巨大ソラスを倒したと思われるガルドと章造がこちらに歩いて来た。


「瑠璃華さん…生きてて良かったです。」


声を掛けたのはガルドだった。


「…泣いてるの?」


「いえ…、何でもありません。」


『こちら春川。瓦礫の中から玲奈を発見した。救助ヘリを連れて来てくれ。』


『こちら神楽。霧香は大怪我をしてる。今直ぐヘリを連れて来て。』




こうして、巨大ソラス。別名ウロボロスは討伐され、脅威は去った。








17:16 本部



俺は機体を貸してくれた(事実貸してくれたか解らない)整備兵にお礼をする為、格納庫へと向かった。


だが、そこには彼の姿は無かった。


俺は司令官からその人の事を聞く為、司令の部屋に向かったが、


「その人物は所属していない。」


…と、言われた。名も無い隊員がここまでしてくれるなんて思いもしなかった。


「あっ、司令官。」


「どうした?」


「あの…俺を叱ってくれてありがとうございます。」


俺を悲しみから救ったのはこの人だ。この人が叱ってくれなかったら俺はずっと部屋に居た。


「別に感謝されても、逆に困る。」


「いえ、こっちは感謝の気持ちで一杯です。」


「…命令だ。今直ぐ部屋から退室しろ。」


…俺は勿論その命令を了承した。




「そうだ。瑠璃華さんは無事なんだろうか…」


俺は瑠璃華さんの事が心配になり、病室まで向かった。









私は今、病室で療養中。

あの巨体に握られたから身体中が痛い。


「うぅ…身体痛い…」


激痛が自身の身体全体に響き渡っていた。


「まったく…何であんな事したんだろう…」


私は自分自身が執った行動に後悔していた。あの行動は正に自殺行為だった。仲間が居るのに私は独りで戦っていた。


自分が罪悪感を感じているとドアをノックする音が聞こえた。


「瑠璃華さん。ガルドです。」


相手はガルドだった。


「入って良いよ。」


私は入室を許可した。







「身体の方は大丈夫ですか?」


「…まだ痛いに決まってるでしょ?」


彼女は反感の言葉を口にして俺に対して微笑んだ。俺はその和やかな微笑に動揺した。


「…そっ…そうですか…」


しばらくの間沈黙が訪れた。





「私、皆に悪い事しちゃったわ。」


「え…?」


沈黙を破ったのは瑠璃華さんだった。


「ヴァンドが死んで、私自身は悲しみに浸って、挙句の果てには死のうと思った。」


「・・・・・」


「でも、死ねなかった。皆怪我を背負いながら私を助けようとしてくれた。」


「…瑠璃華さん…」


「その中で最も必死に助けようとしてくれたのは貴方だった。ふふ、思えばまた後輩に助けられちゃった。」


彼女はまたしてもこちらを向いて微笑んだ。


「悲しみに浸ったのは貴女だけじゃありません。俺も貴女ほどの悲しみに浸っていました。」


ヴァンドの死で凄く悲しんだのは瑠璃華さんだけじゃない。俺も彼女と同じ悲しみに浸っていた。


「確か二人は、友人関係だったよね?」


「はい。でも、アイツ等はもうこの世に居ない。」


俺も彼女と同じ、死のうと思っていた。でも、それは間違いだった。


「俺は…貴女の友人方がこの世から居なくならない事を願ってます。では、俺はそろそろ。」


俺は病室から退室した。








22:00 本部



悲しんでいたのは私だけじゃなかった。友を失ったガルドもそうだった。





【貴女の友人方がこの世から居なくならない事を願ってます】



私は彼からのお願いを思い出した。


確かに。時也と晴斗まで居なくなったら私は…























ヴァンド。私は生きるよ。貴方や、貴方の幼馴染の為にも…

































彼の側に居てくれてありがとう










「え!?」


何か聞こえた様な気がした。


「まさか…」


私は誰だったのか、直ぐ察した。


「…どう致しまして。」





to be countinue




遂に俺達は孤立してしまった。何処からも助けは来ない。

最早人類は滅亡を受け入れなきゃいけないのか?




次回 大結集 滅亡は待ってくれない