格安航空
12月9日にマレーシアを拠点としているアジア最大の格安航空会社エアアジア傘下のエアアジアXは、羽田空港とクアラルンプール国際空港を結ぶ新規路線を週3往復運航させました。 就航を記念して一部の座席を片道5,000円で販売しました。 通常料金は予約の時期などによって異なりますが、14,000円~68,000円で、座席が180度まで倒せるプレミアムシートは48,000円~90,000円を想定しています。 格安航空会社は、低い運航費用で低価格かつサービスを簡素化した航空輸送サービスを提供する航空会社です。 かつて大手航空会社はIATA=International Air Transport Associationカルテルによって割高な国際線の運賃体系と無競争状態が守られてきました。 1977年にレイカー航空が、既存の大手航空会社の割引運賃を大幅に下回る格安な運賃でロンドンーニューヨーク線などの大西洋横断路線に参入しました。 このころアメリカでも、ピープル・エキスプレス航空やエア・フロリダが、格安航空会社のはしりとして脚光を浴びました。 しかしいずれも、既存の大手航空会社やIATAの意を汲んだイギリス、アメリカ両国政府の強い圧力や航空事故などを受け倒産しました。 1980年代に入ると、ヨーロッパやアメリカ、日本などの多くの先進国においても、キャセイパシフィック航空や大韓航空、シンガポール航空などのIATA非加盟で、既存の航空会社の割引運賃を大きく超える格安な運賃を売り物にした航空会社の勢力が増しました。 そして、IATA加盟、非加盟双方の航空会社間での価格競争が進んだ結果、1980年代半ばにはIATAに加盟している既存の大手航空会社においてもカルテル運賃システムがなし崩し的に崩壊しました。 その後、格安航空会社の運賃に対応できなくなった既存の大手航空会社の乗客の多くがこれらの格安航空会社に流れ、価格競争の激化によって既存の大手航空会社のシェア及び経営状況は急激に悪化しました。 そして、デルタ航空やユナイテッド航空、タイ国際航空やシンガポール航空、スカンジナビア航空やルフトハンザ・ドイツ航空などの既存の大手航空会社が、これらの格安航空会社のビジネスモデルを部分的に取り入れた子会社の格安航空会社を相次いで設立しました。 今日では、航空ビジネスにおいて格安航空会社の存在は重要かつ無視のできないものとなっているだけでなく、航空業界の勢力図を塗り替えるほどの大きな影響を与えています。 格安航空は、単一機種または派生型を一括購入して機材購入コストを抑え、単一機種または派生型の運航によってパイロットの操縦資格や整備の共通化を図り、飛行訓練に対するコストを削減するためにすでに乗務資格を取得している運航乗務員だけを中途採用し、メンテナンスコストや乗員訓練コストを抑えています。 使用料が高いボーディングブリッジを使わず、整備設備を自社で持たず整備を他社に委託し、大都市周辺の混雑していない地方の中小空港に乗り入れ、多頻度運航、短い折り返し時間、定時性を実現し、航空機を有効活用します。 また、これまで大手航空会社では利用されてこなかった第2次空港に乗り入れることで、空港管理者から空港使用料の割引や補助金を得ています。 さらに、座席クラスをエコノミークラスに統一し、座席指定を廃止し、座席の前後間のスペースを詰め、いろいろな無償サービスを省略し、機内食や飲料の簡略化・省略・有料販売化しています。 2007年からこれまでに、ジェットスター航空が関西国際空港と中部国際空港へ定期便を就航、フィリピンのセブ・パシフィック航空が関西国際空港へ週3便で就航、ジェットスター航空が成田国際空港へ就航、韓国の済州航空が関西国際空港と北九州空港に定期便を就航、韓国のエアプサンが福岡空港と関西国際空港に就航、シンガポールのジェットスター・アジア航空が関西国際空港へ定期便を就航、マカオのビバ・マカオが成田国際空港へ定期チャーター便を就航、中国の春秋航空が上海から茨城空港へ定期チャーター便を就航と続いてきました。 エアアジアXは今後、羽田のほか、数年内に、札幌や中部、関空、福岡などへの就航も計画しているといいます。 日本航空の倒産と再建劇を見て、時代の大きな変化を感じます。