先週、久喜総合病院の経営権がJA厚生連から九州を拠点とする医療法人カマチグループに譲渡される旨の報道がなされました。
我々議員には、全員協議会で経緯の説明が行われました。
この問題のポイントを以下のように整理します。
・久喜総合病院の経営がJA厚生連から医療法人カマチグループに引き継がれる
・JA厚生連から久喜市へ和解金3億7千万を支払う
・かつて久喜市は病院の誘致に際し、JA厚生連に対し、35億8千万円の補助金を拠出している
・久喜総合病院はJA厚生連が運営する「公的病院」ではあるものの、「公立病院」ではなく、経営判断に久喜市は介入出来ない
・久喜総合病院は、毎年多額の赤字経営が続いていた
・総合病院は久喜市の悲願であり、市民アンケートでも10年以上、もっとも多数を占める要望であった
・今後、JA厚生連から経営を引き継ぐカマチグループは救急病院を複数経営しており、救急医療のノウハウを持つ
・久喜市がJA厚生連に補助金を拠出するにあたり、締結した「協定書」(※久喜市と交わした「こんな病院にしてください!」という約束)は少なくとも今後10年間は引き継がれる。
→今と同じ体制は維持される
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まず率直に、5年で「経営譲渡」という決定をしたJA厚生連の経営方針、経営手腕には大いに疑問が残ります。
(もっと言えば「組合員のための」という目的から大きく外れながら、国から圧倒的な保護を受け続けるJAバンクや農林中金の存在意義も理解できません)
JA組織への熱い思いは置いておいて。。。。病院について話を戻します。
私は、従来より「民間で出来ることは民間で」を発信してきました。
例えば今回のケース。行政の意のままに病院を維持する究極の方法は「公立」にしてしまうことですが、それは現実的ではありません。
少子高齢化、人口減少、社会保障費の増加など、今後財政が厳しくなるのはほぼ確実であり、そんな中、行政のスリム化、効率化は必須と言えるからです。
全国的に公立病院は、巨大な赤字を抱え、財政に大きな負担を与えています。
そのため武雄市、大阪市など公立病院を民間に移譲するケースも少なくありません。
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全てを行政が抱え、全ての意思決定を行政を行うのではなく、民間の力を活用し、大切な命を守っていくことは、時代の要請に従った今後の地域医療のスタンダードになるのではないでしょうか。
今回、久喜総合病院は、設立当初に「久喜市」と「JA厚生連」が交わした協定書を踏襲した運営のもと、救急医療の実績を持つ民間医療法人が引き継がれます。
そういった意味で久喜市が支出した補助金は、今後も目的の履行を継続します。
また、現体制がそのまま引き継がれるため、医療を受ける方にとって直接的な環境の変化はありません。
毎年赤字が続いていたJA厚生連では出来なかった医療サービスが、財政基盤が盤石とされる新医療法人であれば実現できるかもしれません。
忸怩たる思いはありますが、変化を契機に、久喜市の地域医療が充実するよう、議会として前向きに取り組んで参ります。