もう恋なんかしないなんて言わないよぜったい~ | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

当日はこのような状況下の中、ご来場ありがとうございました。

また、配信でご覧いただいているお客様にも感謝申し上げます。

20日午後、21日午後の雌鳥王女を演じました新田です。

 

今回の公演に向けては、色々と各方面に内にも外にもご迷惑とご心配をかけてしまい、

反省も感謝も多大にあるのですが、それはいずれある次回の糧にさせていただくことにし、

ありがとうございましたの気持ちだけをここに述べて、役どころの話を少しさせていただきます。

 

 

さて、みなさん複数役を演じる中、私は前述のとおり一役だったわけです。しかも初演と同じ役。楽なもんでしたね!

……というわけにもいかずですね、ええ。

数を数えるのが苦手な劇団のものなんで、何年前かはさっぱり忘れてますが、初演は確か結構前。

とりあえず、4歳女児と家でプリパラのライブごっこして踊って歌ったりする未来なんて想像もしてなかったぐらい前。

というか、今回座組最年長ですって。いやだわ、だからタイトルも最近の歌じゃないのね。

 

そんなわけで、初演から年月は無情にも過ぎていたので、演出からは「前にやった役だから何とかなるよな」といわれましたが、なんとかなる気は全然しませんでしたね!

え?しかも私、初演の時、めっちゃ迷走して、ゲネまで迷走を続けて姉上(筒井のくみちゃん)と隼別(くぼたくん)に迷惑かけてなかったっけ? 演出も本番後に今回は駄目かと思ったとか言ってなかったっけ?

みたいなことも頭をよぎりつつ、稽古に入ったわけですが……入ったような、入ってないような。

傍らで携帯でプリキュア観賞したり、ぬいぐるみ投げたりしてる四歳児がどうも気になってしまうので、稽古7割、母3割みたいな気持ちで台詞を読んだりしてたんですね。

なんでちょおおおっと、恋する乙女の気持ちになりづらかったりして、その上、そのままリモートに突入し、なんか色々あって本番になってしまったというのが実感です。

 

まあでも、演出のいった通り、「前にやった役だから何とかなる」もんでした。とりあえず、初演時は迷走の末、私は雌鳥を獲得していたので、やるべき仕事と役者として動くように水を向けとくべき気持ちの方向性は掴んでいたんですね。なのであとは、現場の「生」感の力添えで、私は雌鳥になれたと思っています。

隼別が2回とも初演の久保田くんだったのも大きいですね。ありがとう、久保田くん。

 

他の二人の雌鳥よりもおばk――直情的みたいな話を、稽古最初の頃、各役者の雌鳥が出揃った時に言われた気がするのですが、私の雌鳥は確かに割と猪突猛進に自分の気持ちだけに素直に生きてく、周りを見ないし振り向かないタイプだったかなぁと思います。(ほかの二人のを見て、賢そう!って思いましたものね)

やってる身としても、オオサザキは憎い、お姉ちゃん(八田)は好きだけどよく分かんない、お兄ちゃん(稚郎子)は優しくてめっちゃ好きだった、というのが、実はシャッフルされていても気持ちの上ではあまり変わりませんでした。特にオオサザキとお兄ちゃんはイマジナリーに見ていましたね。

お前の人間性も真意も関係ない、私はこう思ってるもん!という感じですね。迷惑ですね。

でも、隼別は隼別を見ていたんですね。

なので、演じ手としては、私の雌鳥は隼別に恋が出来るか否かが成功の分かれ目だった気がするんで、2回ともちゃんと恋させてくれたクボタ別にはとても感謝しているのです。

 

……何も考えずにノリと勢いで舞台をやってしまったみたいな話になっている。まずいぞ。

とはいえ、一度過去に同じ役で本番を迎えていた強みで、当時の映像を見て、

「あ~今ならもう少しこうするなぁ」と思った部分を稽古で試したり、

稽古場での新たな発見を毎回きちんと出力できるようにしたりはしていました。

 

それが果たしてきちんと成功したのかは、見ていただいたお客様のものなのですが、

大王を煽る時の「兄上を殺したように私も殺す?」的な台詞は、「兄上を殺した」の方に比重を振って抉ろうとか、

「隼はサザキよりも強いもの」は心からそう思っていようとか、

隼別と倉橋山登りのあとはもっとプチデート気分でいようとか(戦を起こすなんて信じられないわ!)、

試みてみたことは他にもちょろちょろとありますので、片端でもそれが届く形になって、私らしい雌鳥として見せられていたら幸いです。

 

 

さて、私個人としては復讐できなかったのは残念でしたが、素敵な恋をして愛する人に殺されたので悔いのない人生ではありました。

で、なんでこんなに恋、恋、恋いってるのかというとですね、次の人生となる近い公演でも恋をするみたいなので。

次のお相手もきちんと恋をさせてくれるといいな~と思っています。

なので、情勢が許しましたら、来世の私の恋の結末も、ぜひ劇場に足を運んで見に来ていただければ嬉しく思います。

 

 

とりとめもなく長くなりましたが、最後に、もう一度雌鳥をやれるようにたくさんの調整を重ね、応じてくれた劇団の団員に、

そして重ねてになりますが、ご来場、ご視聴くださった皆様に、心より感謝して、結ばせていただきます。

ありがとうございました。