ナマモノにつきお早めに | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

全公演配役シャッフルで朗読劇なんて提案を受けたのが2月のこと。
配役決めやら顔合わせの3月を経て、いざ稽古スタートの4月。なんと稽古場が封鎖されました。

新しきに弱いキシャが挑む初めてのオンライン稽古。
繋がらないマイク、か弱き通信回線、吠える犬、鳴くカラス……

状況次第では本番自体リモート収録という可能性もゼロでは無く、稽古自体もずっとオンライン、
リモート企画の『堤中納言物語の話がオンラインでしたい!』(だっけ?)を始めたり、
オンラインで演劇もこれはこれで面白いのかな、とは思いましたが、
公演直前に事態は急転回し、結局なんとか劇場で公演本番をむかえることになりました。

結果として。
逆に「生」の演劇の為せるワザをびっくりするくらい体感してしまった公演になったなと思います。
いやもう本当に。
座組によっては実はオフラインはぶっつけ本番だった回もあるんですけど。
勝手知ったる団員同士なこともあり、とりあえずそこにいて息遣いを感じられるってだけで、なんとかなるなって安心しましたもんね……
しかも朗読って言ってるのに、ぶっつけでみんないきなり普通に動くし台本から目を離しすぎっていうね。
うちの人たち何だかんだ生の舞台の人間なんだな……と無駄に実感しました。

そして配役シャッフルの化学変化もまた、お互いの僅かなニュアンスの違いも感じとれるリアルでこそ大きくなったのかなと思います。
誰かが変われば少しずつ全部の歯車がずれるので、毎回全然違う物語になっていくんですよね。
もちろん台本のセリフは同じですが、本人たちも笑うくらい5回公演とも全く別のお話です。
私も5回中3回は同じ八田王女を演じましたが、意図的な部分も含めてどれも全くの別人になりました。
残り2回を演じたオリジナルキャストの筒井とも全く別だと思います。というか筒井の八田は筒井にしかできない芸当なんで……あれは無理よ……
なのでもはやオリジナルキャストの最適解からどうやって外して成立させようかなぁという方向で楽しくやりました。
ちなみに私の八田の対大鷦鷯への感情は各回順に、憎悪→恋愛→慈愛あたりですかね。1回目と2回目は耳キーンとなるやつ。

可能であれば是非とも複数公演見比べて、それぞれの感想など教えていただけたら嬉しいですね。
現在5回公演各回の録画配信チケットを販売してますので、ぜひご覧いただけれは幸いです。
(販売は6/27,28まで公開期間は7/5までです)

末尾になりましたが、この状況で足を運んでいただいたお客様には大変ありがたく御礼の言葉もありません。
また同様に配信にてご覧いただくお客様にも心より感謝申し上げます。


いつもながら長々とすいません。
いつかまたお会い出来ますように。


かなざわれいこ