すべてを楽しみつくした狂帝でした! | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

作・演出(と、役者としては後白河帝)の千野です。

お陰様で満員御礼にて公演を終えることができました。

全ての皆さまに御礼申しあげます。

 

さて、まずは作演として。

過去に『陸奥話記』『後三年記』といった軍記を扱ってきた以上、いよいよ保元・平治にいかねばなぁというのは自然な流れでした。

何度かここに書いていますが、私はラストを決めてから書くタイプなので、今回もそこから始まったのですが、

「崇徳院が天狗になって祟るってくるんだよなぁ……天狗かぁ……いや待て、後白河こそ頼朝に「大天狗」って言われてなかったっけ!?」

という発想で、あのラストが決まり、そこを目指して書き始めたのでした。

実は当初はですね、

「兄上が天狗となって祟るならば、私は日本一の大天狗にでもなってやろう!!」

みたいなイメージを持っていたのですが……結果としては、もうちょっと低血圧な(?)オチになりました。

あとは、そうですね……定期的に発症する、

「ハッピーエンドなんか要らない! 後味の悪い作品にしてやるんだ!!」

の病が保元の乱にマッチしてしまって、あのような鬱展開になったのでした。

ただ、保元の乱といえば人間関係の複雑さがウリなわけで、うまく伝えられるかなぁというのは本当に不安で。

スタッフさんの力をお借りしながら、いろいろと工夫してみたつもりではありますが……伝わりましたかねぇ?

あのややこしさを、だからこそ面白いと思っていただけたのならよかったのですが……。

 

そして、役者としては。

やりたかったんですよー、後白河!!

歴史上の人物として、普通に好きで、純粋にやってみたかったキャラでした。

あのひと、残るエピソードがいちいちアタマオカシイじゃないですか?笑

そういうヤバい奴感を出してみたつもりです。

かっこいいキャラとかしっかりした芝居とかは、久保田とか君嶋くんにぜーんぶ任せて、私はやりたい放題、好き勝手に楽しませてもらいました。

あんなストレスのない、楽しいだけの役なんて初めてでしたよ笑

あ、そうそう。そんなシーンなんてないはずなのに、お客様に「エロい」などと言っていただけたのがとても嬉しかったです。

実は自分の中での裏テーマが「優雅な変態」だったので笑

……いや、でも、後白河って、ああいうキャラですよねぇ?

歴史好き後白河好きの皆様に受け入れられたかは分かりませんが、私は、ああいう奴だったと思う!!

 

衣装は自らリクエストして御引直衣にしてもらったんですが(だって原作にそう書いてあるし)、衣装さんには、「考証的にはちゃんとするけど、色合いとかはありえないコーディネートにしてほしい!」とお願いしていたのでした。

それがまさか……真っ赤な直衣が用意されるとは……たしかにありえないコーディネートって頼んだけどさ!!

あの衣装のおかげで、さらにヤバイ奴感が出たと思います。衣装さんに感謝。

(でも、着てみると御引直衣ってすっごく楽なんですよ! 日常着だってのがよくわかりました!!)

 

というわけで、私自身もずいぶんと楽しんだ公演でした。

いずれ『平治物語』をやるときは、後白河を続投させてもらいたいと思います。

 

さて、次回公演は『南総里見八犬伝の話が(もうちょっと)したい!』です。

日本第一の大天狗(あるいは和漢に比類なき暗主)から、孝の心を持った好青年に戻ります。

……高低差ひどいな!!

カーテンコールでお伝えした通り、公演日が誕生日なので、何かしたいと思います!!

グッズとか作ったらほしがっていただけますかね?? 自費で作りますよ?笑

リクエストなどなどありましたら、ぜひお寄せください。

それでは、来年の1月に、絵空箱でお待ちしております!

 

2019.08.03 千野裕子