仙川の異界 | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社
源義朝役、君嶋哲です。


この度は沢山のご来場ありがとうございました!昼夜共にほぼ満席のお客様にお越しいただいて、とても良い雰囲気の中でお芝居出来ました!


皆さん楽しんで頂けましたか??といっても楽しいなんて言えるような明るい内容ではありませんね笑
役者としても、稽古で1度通すだけで精神的に疲れるような、中々にハードなものでした。



立身出世の為に身を尽くし、肉親をも犠牲にし、挙句反旗を翻すこととなった義朝。その果てに見えた景色はどのようなものだったのだろうか。
言葉では武者の運命、覚悟は出来ていると言っていたが、彼がそこまでして得たかったものはなんだったのか、現代に生きる僕には到底思いつかない。きっと武士として生まれた以上他の生き方は選べない時代だったのだろう。



そなたに人の血は流れておるのかと命乞いする忠正に対し、私に流るるは武者の血にございますと言い放った清盛。そして彼は叔父忠正を斬った。

もはや人ではない何か、それが武者なのか。

義朝はどうであったか。彼は戦士ではあったが間違いなく人であった、と僕は思う。だがそんな彼を、時代が武者に変えてしまったのだ。野心に始まった彼の心は、怒り、悲しみ、憎しみ、それだけではない様々な感情の荒波を経て武者の魂を持ってしまった。

もしかしたら、立身出世を目指していた義朝はいつからか勇敢に戦って死ぬことを求めていたのではないだろうか。この時代にヴァルハラ的な概念があったかどうか僕は知らないが、そうやって武者として勇ましく散ることに意味を、そして救いを求めていたように感じてならない。





なぁんてことを思いつつ、エアコンの効いた部屋でキンキンに冷えたビールを飲んでダラダラと過ごしている僕であった。まる。