本番で完成。 | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

こんにちは、かんです。
『南総里見八犬伝の話が(ちょっとだけ)したい!』にご来場いただきました皆さま、今回も貴重なお時間を私たちの舞台のためにいただき、本当にありがとうございました!

さて今回の舞台では、前半の語りと浜路(はまじ)をやらせていただきましたが。

まず語りに関して。前半の語りはまさに役得で、誰よりも近くで役者が見えるので、なんだかんだ、その場にいた誰よりもシーンを堪能した気がします(笑)すぐ隣で話が見えるって、かなりの贅沢ですね。
しかしながら、回替わりの定包にはやられました。それぞれがあらゆる手で、いろんな方向から笑いのツボを刺激してくるんですよ。 ほんと一番のクズヤロー…。久保田兄は中学2年生頃の思春期に見られる背伸びしがちなあれこれを繰り出してくるし、優さんは普段の優さんでは見られないクズっぷりで胸キュンさせてくるし、松原さんはね、あ、松原さんは訛りが過ぎる百姓の方が苦しめられましたね。本番ではもはや怒りに変わるほど面白かったです(笑)唯一、安定だと思っていた千秋楽のゆうこ先輩回では、爆弾投下されることを直前に知って、意識してたものの、すみません密かにニヤけました。すみませんでした。耐えきれませんでした。れいこさん、お誕生日おめでとうございます!…しかし、同じ役でも、役者によってこんなにも色が違って、正解なんてなくて、逆にいえば全部正解で、本当に面白いですね。

という感じに?皆さんに語る側のはずが、誰よりも場面を楽しんでしまいましたが(笑)里見の殿様が生まれる過程を間近で見ることが出来て、そして自分の口から彼について語ることが出来て、本当に楽しかったです。『南総里見八犬伝』の始まりでもある大切な部分。私に語らせていただいて、ありがとうございました!

 


そして中盤では、浜路役として登場させていただきました。実は、浜路は本番ギリギリまでOKがもらえなくて、役作りにかなり難航しました。今までやってきた役で、最もよくわからなかった役…かもしれません。
彼女は「120%重い女」で作りこむ予定でした。だって、夜中に寝所に忍び込んで、連れてってくれないなら死ぬー!って子ですよ?自己中が過ぎる。しかしそれで作っていったら、「重い女ではない」と玉砕。なかなかOKがもらえず、久しぶりに?迷走に迷走に迷走しました。
結局、演出家さんにそれ!と言ってもらえたのは前日リハーサルの時。今だから言える話、荘助のお陰だったかなと思います。だって、めーっちゃ荘助、浜路のこと心配してくれるんですもん。お稽古場でも、もちろん見てたんですが、リハーサルでは待機場所がよかったのか、真正面に心配してくれる荘助の姿を見ることができて、あ、本当にかわいそうなんだこの子。と感じることが出来ました(笑)重い、んじゃなくて、ただ必死にもがいてるんだなあと。そう思った途端生まれた謎の母性。浜路はひたすらに居場所を求めてるだけなんだよね。かわいそうに、よしよし。ずっと一人で頑張ってるのか、よしよし。本番では「ひとりぼっち」という台詞に、勝手に涙が出るようになりました。久保田兄、ありがとう!

という、直前で完成したぎりぎりの浜路でしたが、皆さんの目にはどう映ったでしょうか?当初私が作ろうとしていた重い女、ではなく、自分を受け入れてくれる場所を探して、必死に生きる一人の少女として在れたなら嬉しいなと思います。結局殺されちゃいましたが、最期に血の繋がりがあるお兄ちゃんに会えた時は、ちょっとだけホッと満たされました。他の面で未練たらたらだったけどね(笑)

ちなみに本公演では初めて?舞台上で抱え上げられました。2回も。最初は地に足がつかないという怖さで落ち着きませんでしたが、慣れると楽しいもので、本番では100%左母二郎とお兄ちゃんに委ねました。ありがとう、きみさん!りおくん!


あと、本公演では、始まる前も終わった後もずっと皆様と同じ空間にいれたので、いつもよりたくさんの方とお話しできたように思います。知り合いじゃない方にも話しかけていただいて、一緒に写真も撮っていただいて、キシャの舞台から新しい繋がりがたくさん生じていることが感じられて、なんだか舞台以外で、素敵な時間を皆さまにいただきました。

そしてそして毎度ながら素敵すぎる照明に音響。これがあるお陰で、俄然と気持ちスイッチが入ると言っても過言ではありません。楽屋では不器用な私を優しく助けてくれるスタッフさんたち。今までに何回も言ってるけど舞台に立てたのは、皆様のお陰。本当に本当に、心から感謝です!

なんだかんだ、公演において一番楽しませていただいてるのは、自分だなあ…とあらためて思いますね(笑)
それではまたどこかで皆様とお会いできますように!かんでしたコスモス