外から内へ | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社
ご来場、誠にありがとうございました。
百姓/手束/妙真/毛野を演じました小松です。

有難くも、ぴったりの役柄だね!とお声いただく事が多かった手束ですが、最も苦戦したのがこの役。待望の跡継ぎに女装させる事を決めてしまうくらい言葉に対して純粋に反応している彼女を、どう表現したら良いのか悩みました。結果、正統派に舵を切ったのです。父が結婚を望んだ人が今、目の前にいる状況だけでも幸せでした。ご利益があると聞けば、弁財天に祈りを捧げる毎日。そして男の子を伏姫から受け取る瞬間は言いようのない幸福と、夫の望みを叶えることが出来た安堵感で満ちておりました。

9年間しか一緒に居られなかった息子を夫と共に見守って行くという事で、手束半分語り半分の配合に基準をおいてみました。でも、信乃に愛情を注げる台詞は母親100%です。死後は、目線は合わないけれど心配でたまらない母親像。側に居られるだけで嬉しくて愛情強めな母親像と4回あるので微妙に変えてました(照明でほとんど見えていないと思うのですが、それで良いんです笑)。

そして、回を重ねるごとにエスカレートしていったのが妙真さん。房八の母ですが、息子の計画に加担します。そう、全てをを知った上で小文吾に詰め寄っていたのです。演出家から指定があったのは、日本語の通じないおばちゃんというキャラクター。眼鏡の効果か、爆買い観光客とも言われていました。妙真さんらしい沼藺ちゃんと大八の守り方だったのだと思います。自分の息子を失う覚悟と愛情が伝わっていれば幸いです。

松原さんとペアだった百姓はもう笑わないことに意識を集中させておりました。稽古を重ねる毎に面白要素が追加されていき、前日に斜めに去るというオプションが追加され、最後まで気の抜けない状態でした。本番では最後の最後で笑ってしまい、早めに去りました。照明さんすみません。

この続きの話があった時、確実に出番の多い毛野の役をいただきました。毎公演、ここまでは出来るようになって欲しいという課題を与えていただいていると思っています。この毛野役を安心して任せていただけるようになるまで、精進します。

合宿への参加&温室な環境を整えて下さる皆様により、完全にキシャに馴染み、カーテンコールでは15周年公演情報に関わる重要な台詞もいただいて、ようやく団員なんだと実感が得られました笑
いても良いよ!と言ってくださっている間はキシャの活動を続けられたらと思います。

ピンクカラーでの応援にも感謝を込めて。
また劇場でお会いできますように。

小松人美