桐壷帝の今昔 | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社
 第1幕で桐壷帝、第2幕で蛍兵部卿宮をやらせていただきました、吉田です。公演にお越しいただいた皆様、まことにありがとうございました。公演開始まではドタバタしていましたが、終わってみればあっという間だったなぁ…というのが正直な感想です。

 感謝祭の時に少し触れましたが、今回の『源氏物語』、旗揚げメンバーが大学卒業の年にも扱った作品であり、私自身は2度目の公演になりました。当時は桐壷帝と、晩年の光源氏(今回の2幕、3幕)をやらせていただきました。蛍を放つ側と放たれる側、両方やったことになりますね。(笑)
光源氏に関しては当日パンフレットの座談会に収録されているようですので、こちらでは私が演じた他の役について掘り下げようかと思います。
 まず、桐壷帝。帝は光源氏と藤壺宮の密通、東宮となした赤子は自分の子ではないこと、気づいていたのでしょうか?卒業公演の時は、あいまいな感じで貫き、光源氏を悩ませましたが(自分自身では本当に気づいていないように作ったと記憶しています)、今回の帝は「密通や不義の子であること、全て気づいていて、それでも息子や宮は大切な存在だから許している」という軸を明確にして演じました。聖人ですね…ただ、光源氏に対して「お前の子なのだから、責任持てよ」位の含みが出るようなセリフの言い回しはしたつもりです。セリフ自体は卒業公演も今回の公演もほとんど変化がないので、自分の中でニュアンスの違いを意識して演じたのは面白かったです。あと、横になって話すのがキツイ。冠があるため完全に寝ているのではなく、首が少し起きた状態が続くので非常に喋りづらい。当日聞き取り辛い部分があったら申し訳なかったです。
 蛍については…もう少し役作りできたのではないかな、と思います。「優しく志深い」人らしいのですが、それだけだと難しかった。稽古のときに指摘があった「真面目だけど遊んでる感じ」だとか、「女遊びが好きな安倍宗任」だとか、言葉通りにやってみたつもりです、が…もうちょっと頑張れたかもしれません。精進します。
 
 10周年記念公演ということもあり、劇団内外問わず、多くのスタッフさんの協力があり成立した公演でした。スタッフの皆様、本当にありがとうございました。和歌の字幕が出てきたり、御簾が開いたり閉まったりめくれあがったり、蛍が舞ったり、演じる側も楽しく舞台に立つことができました。一役者としても、劇団全体としても、実りのある公演になったと思います。