いまだ夢の中? | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社
右大将/女院を演じました、脚本家の千野です。
この度はご来場ありがとうございました。

『在明の別』、いかがでしたでしょうか。
少しでも原典の面白さを伝えることができたならと、その一心でやって参りました。
特に役者としては、作品のテーマと不可分な役でしたので、いつになく慎重に作り上げてきました。
この作品が抱え持つ〈性〉の妖しさを私なりに解釈し表現してみたつもりです。
こんな作品が12世紀の日本に存在したのだということを、記憶のどこかに留めていただければ嬉しいです。

どういうわけだか、公演の日以来、『在明の別』関係の夢を見続けています。
本番前は全くそんなことはなかったのに、不思議なものです。
まだ自分の中では消化しきれていないというか、
「こういう公演だった」
という整理ができていないせいでしょう。
もうしばらくは、この心地良い夢の中にいたい心持です。

しかし夢は夢として、うつつではもう次に向かって走り始めております。
今回の公演も、たくさんの方々に支えられて無事に終えることができました。
その感謝の気持ちを、私は次の作品を作り上げることによって表し続けたいと存じます。
今後とも、何卒よろしくお願いいたします。